ハーメルン
継ぎ接ぎだらけの中立区
心身共に


気心が知れる相手だからこそ、今の飛鳥医師ともいい関係で居られるわけだ。昔から何も変わっていないかもしれない。

「あの子達を見ればわかっただろう。来栖はいい奴なんだ。この深海棲艦との戦いでも、死者は出したくないと躍起になっている。僕ほど極端ではないが、信念は僕と同じところにある。だから、僕のやり方にも文句は言ってこないし、こういったことで手伝ってくれるんだ。法の隙間をついている感じは否めないが」

飛鳥医師は、助けを求められれば深海棲艦だって救うと言ってのけるほどだ。そこと同じところにあるということは、その来栖提督も慈悲深い性格なのかもしれない。
とはいえ、深海棲艦をそのままにしていたら侵略されてしまう。その来栖提督は、歯を食いしばって深海棲艦を殲滅しているのだと飛鳥医師は語る。

「アイツは、僕の知る限りでは真の英雄だよ。良くも悪くも」

そこまで言われる来栖提督に、私も興味が出てきた。

「君には来栖にも会ってもらいたいものだな。いい影響が出そうだ」
「機会があれば頼む」
「割とすぐにその機会は来そうだけどな」

提督という立場の者にいい印象が無いのは、ここ数日で飛鳥医師にも話している。摩耶に話したことをそのまま話しただけなのだが、いろいろ察してくれた。それでも来栖提督の存在を話してくれたくらいなのだから、私の持つ提督という存在へのイメージを払拭出来るほどの人物なのだと思う。
会えるものなら会ってみたいものだ。その時にはまた第二二駆逐隊と会えるかもしれないし。

「少し話が長くなったな。若葉、汗が冷える前に一度シャワーを浴びてくるんだ。その間に雷が朝食を作ってくれるだろう」
「わかった」

また少しだけ飛鳥医師の心のうちが聞けたような気がする。おそらく今までと同じなのだが、今の飛鳥医師は表情が柔らかいように見えた。

私は自分の生き方を見つけることが出来た。ゆっくりとだが確実に、『楽しく生きる』ことに繋がっていると思う。身体を鍛え、明るく生活する。心身共に強くなれば、楽しく生きることも出来るだろう。

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