10話 友人
「良くぞ参られたバハルス帝国の皇帝。私がナザリック地下大墳墓が主人、アインズ・ウール・ゴウンだ。我が友、ウルベルトの友人だという君を、歓迎しよう」
玉座に座るアンデッドがそう告げる。
その傍には、羽を生やした美女がいる。彼女がこのナザリックのシモベ全て統括する役職にあり、このナザリックにおいて知恵者として位置している事をウルベルトから聞いているジルクニフは彼女を真っ先に警戒する。
他にも、銀髪の美少女と、青白い昆虫のような者、ダークエルフの双子も存在しており、彼らとて一人で国を亡ぼせるほどの力を持った存在なのは知っているので警戒は必要だが、この場において一番気にしておく必要があるのは頭の良い者の存在だ。
しかし、聞いていた情報にある限り、役職を与えられた強者のみをこうして集めたのはジルクニフを敵と見て警戒しているが故か。
やすやすと一対一で話せると思ってはいなかったが、戦力としてはいささか過剰すぎる人員だ。もし、ウルベルトから話を聞いているのであれば、こちらの強さは承知のはず。やはり、事前の連絡をウルベルトからは受けていなかったとみるべきか。
しかし、ウルベルトの息子だという悪魔の姿はここにはない。たまたまナザリックを不在にしているのか、はたまたあえてこの場に呼んでいないのか。できれば、彼の様子は観察しておきたかったのだが致し方ないだろう。こうして、モモンガと面会できただけでも僥倖だ。
「突然の来訪を受け入れていただき、感謝の言葉もない。私の名前は長いので、気軽にジルクニフと呼んでいただいて構わない。ウルベルトともそのようにしているし、貴殿ともそう言った気安い仲になれればと思っている」
「では私の事はアインズと……いや、ジルクニフは私の事をモモンガと呼んでいたようだが、それはウルベルトから聞いていたのだな」
「ああ。普段は、アインズ・ウール・ゴウンという名前で冒険者として活動しているのも承知だ。こちらが、ウルベルトとその真実を教えてもらえるほどの仲だとすぐに理解してもらえるように、モモンガという名前で君を呼び出してしまったが、私はどちらの呼び名でも構わないよ」
「そうか、全て承知なのだな。では、モモンガでも構わない。もし、外で私と会う事があるのならば、その時はアインズで頼む」
「では、改めてモモンガ。君とこうして会えた事に感謝を」
山羊の表情もわかりにくかったが、肉のついてない骸骨の表情はサッパリわからない。それ故に、声色だけで相手の事を判断する必要がある。
とりあえず、モモンガに関しては現状、特に問題はないように思われる。ウルベルトから聞いていた話との齟齬もなさそうだ。
問題があるとすれば、周りに連れている階層守護者という地位についているはずのシモベたちだ。
モモンガに対して慣れなれしすぎるんじゃないかとその目は訴えている。特に、羽の生えた美女、恐らくアルベドという名前の彼女は、明らかにこちらを警戒して睨みを利かせてくる。まぁ、いきなりの来訪者に警戒しないほうが逆に不自然ではあるが。
「とりあえず、私の連れを紹介しよう。こっちにいるのが、バジウッド・ペシュメル。元は平民だが帝国四騎士として、現在私が最も信頼している部下だ。そして、こちらも同じく四騎士の一人レイナース・ロックブルズなのだが、彼女はとある呪いで顔の半分が醜い姿になっていてね、ウルベルトがここにいるペストーニャ殿なら治療できるだろうと言うので連れて来させてもらったのだ」
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