ハーメルン
痛みを識るもの
Opening

 ────10月2日、水曜日。B級ランク戦当日。

「じゃあ、最終確認をするわ」

 用途不明の窪みやパイプが壁に設置されている宇宙船の船内のようなSFチックな『那須隊』作戦室にて、那須が七海達を前にそう切り出した。

 既に全員がボディスーツのような『那須隊』の隊服に換装しており、気合充分といった感じだ。

「今日のROUND1の対戦相手は、『諏訪隊』と『鈴鳴第一』。どちらも近接戦メインのチームね」
「『諏訪隊』が諏訪さんと堤さんが組んでのダブル散弾銃(ショットガン)での近接火力での力押し、『鈴鳴第一』はNO4攻撃手(アタッカー)の村上先輩を銃手の来馬先輩と狙撃手の太一くんが援護する形ね」
「『諏訪隊』の攻撃手の笹森先輩は、守り役になったり『カメレオン』で奇襲したりして来ますね」

 那須の言葉を、熊谷と茜が補足する。

 どちらも、前期までのランク戦で彼女達が散々やり合った相手である。

 戦術についても、一通り知っているのは当然だ。

 無論、彼女達の試合には七海も全て目を通している為、認識は共有している。

「『諏訪隊』相手の戦績はそう悪いものじゃないけど、問題は『鈴鳴第一』よね」
「そうですね。前回の最終戦も、最後は村上先輩を倒しきれずに『鈴鳴第一』に負けちゃってますし」
「『諏訪隊』も、決して侮って良い相手じゃないわ。けど、今回は今までとは違う…………そうよね? 怜一」

 那須に話を向けられ、七海はこくりと頷いた。

「…………ああ、玲達の雪辱は晴らして見せる。今回は作戦も練ってある。俺が加入して正解だったと、皆に言わせて見せるさ」





「『那須隊』と『鈴鳴第一』か…………そういえば、()()()()だったな。七海の奴が参加すんのはよ」

 SFじみた『那須隊』の作戦室とは打って変わって、麻雀卓等が置かれた大学の部室のような『諏訪隊』の作戦室で金髪の柄が悪そうな容姿の隊長の諏訪洸太郎(すわこうたろう)が堤に確認を取る。

 開眼すれば『ボーダー』のイケメンランキングが変動すると密かに囁かれる糸目の青年、堤大地(つつみだいち)はこくりと頷いた。

「はい、三日前に加古さんの所でそう話していました。間違いありません」

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