ハーメルン
痛みを識るもの
Assault unit


 恐らく、と東は付け加える。

「太一を狙ったのは、那須の動きの自由度を上げる為でしょう。狙撃がなければ、上に跳んでも狙い打たれる可能性はなくなりますからね」
「つまり、此処までの展開は全て『那須隊』の計算づくだったと」
「そういう事です。相当しっかり作戦を練って来ていますね、彼女達は」

 惜しみない称賛の言葉を口にする東に、桜子はただ感心している。

 この試合、最初から今に至るまで全てが『那須隊』の掌の上で進んでいる。

 試合展開を完璧に、コントロールし切っている。

 その手管を、東は素直に称賛していた。

 桜子は意識を切り替え、画面に目を向ける。

 そこには、機動力を武器に村上達を翻弄する『那須隊』の姿。

 その鮮やかな手並みを視界に収めながら、再びマイクを握り締めた。

「さあ、このまま『那須隊』の独壇場で終わるのか……っ!? 試合も既に、大詰めとなって参りました……っ!」





「…………これは、決まりだな」

 会場の上層、特別観戦席。

 そこから一つの画面を見ていた風間は、口元に笑みを浮かべながら呟く。

「あいつ等の、作戦勝ちだ」

 風間はそう告げ、じっと画面を見据えていた。

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