七海と影浦
「お邪魔します」
「おう、来たな七海。早く座れや」
ガラガラという音と共に、入口の扉が開けられ七海が店内に足を踏み入れる。
そんな七海の姿を見るなり長身の目つきの鋭い少年、影浦雅人は笑みを浮かべて店内の席を指さしていた。
────此処はお好み焼き屋『かげうら』。
その名の通り、この影浦の実家である。
「カゲ、俺等まで呼んで貰ってすまないな」
「飯食いに来たぜ、カゲ」
七海に続いて店に入って来たのは、二人の背の高い少年だった。
眠たげな眼の少年の名は、村上鋼。
NO4攻撃手の称号を持ち、優れた剣の腕を持つ実力者である。
その後ろから来た帽子を被ったスマートな体躯の少年は、荒船哲次。
村上の師匠筋に当たり、攻撃手から狙撃手への異例の転向をした事で知られる『荒船隊』の隊長である。
そして、彼等を出迎えた影浦は、B級のチームの中でもNO2の順位を誇る『影浦隊』の隊長だ。
とある罰則規定により大幅にソロポイントを減らされてはいるものの、その実力自体は疑いようがない。
七海と同じようにサイドエフェクトを持ち、そして七海にサイドエフェクトを活用した回避方法の基礎を教えた三人目の師匠にあたる人物である。
♦
────影浦雅人が七海と初めて出会ったのは、個人ランク戦のブースだった。
気紛れにランク戦に興じる為ブースを訪れた影浦は、偶然七海の試合結果を目撃したのだ。
試合の相手は、影浦も良く知る攻撃手、荒船哲次。
当時は純粋な攻撃手だった荒船と七海のその時の戦績は、4:6。
惜しくも負け越していたが、見慣れない名前である事からB級に上がってそう間もない相手だろう。
だと言うのにマスタークラスの攻撃手である荒船相手にこの戦績ならば、充分に将来有望と言えた。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/18
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク