18話
香織の悲痛な叫びの後私達は無言のままその場で止まった後残り少ない階層を上がり、漸く迷宮から抜け出すことが出来た。
漸くホルアドまで戻ってこれた私達の中にはその場で座り込み生きている心地を噛み締めたり、お互い生き残れたことを抱き合って慰め合ったり。そんなことをする光景が多かったその後受け付けとやり取りをしているメルド団長、リィンフォースさんのことや正人のことでやっぱり気が重たいのか足取り重いように思えた。それと檜山も今の状況とメルド団長が離れた隙を見て逃げだそうとしたが私が直ぐに取り押さえた。
檜山からは恨み言葉をかけられたがこれ以上都合の悪い連鎖を広げないためにもこいつだけは逃がすわけにはいかなかった。
その後戻ってきたメルド団長に檜山を引き渡し、ホルアドで1泊した後、私達は王都へと戻ってきた。
それから言うもの私は空いた時間に自らの大剣を振るう日々が続いていた。
ただ我武者羅に…嫌なことを忘れたいために…というか
「いい加減にしつこいのよ。あのバカどもはぁ!!!!!」
恨みつらみをぶちまけた怒声と共に振るわれた一撃は訓練所の地面を抉った。
「はぁ…はぁ…何なのよ王宮の重鎮ときたら、気晴らしで振るっているってのに訓練に精が出ているなとか、部屋に引きこもる者とは大違いで流石は勇者様のお仲間とか、アリサがここまで頑張ってるんだ。俺達も負けていられないなとか、本当にふざけんじゃないわよ!!!」
訓練所で振るっていたら私を見かけた者はそういって去って行く。因みに最後のはあのバカだ。結局あいつには正人の思いは届かなかった。
寧ろ、力を隠していた卑怯者と扱う始末だし、憤って本気で手を出しそうになったぐらい。
実際すずかがいなかったら間違いなくぶっ飛ばしてたと思うし、すずかがいてくれて本当に助かった。
「凄い鬱憤が貯まってたのね…それと光輝が本当に迷惑かけてごめんなさいね」
同じくじっとしているのが無理で気晴らしに剣を振るっていた雫が天之河のことで頭を下げてくる。
本当に損な役回りを務めてるわねっと思いながら私は雫に顔を向けた。
「別に雫が謝ることじゃないでしょ?」
「それでもよ…ねえ、アインスさんとは会えたの?」
「……残念ながら通してはくれなかったわ…この中は危険なのでお下がりくださいの一点張り、城の衛兵以上に私の方がリィンフォースさんのことは知ってるって言うのにね」
此処で少し今の現状を説明しておこう…
まず私達の状況なのだが、クラスの殆どが戦いへの恐怖から引き籠もっている状況で王宮はそんな状態を看過することが出来ず。ことあることに戦わせようとさせたけど、オルクス演習に参加していなくて、正人の離脱を深く後悔した畑山先生が猛抗議して、先生のレア天職と実績から王国や教会も無視することは出来ず自主性での参加という形をもぎ取り。取りあえずの強制参加は免れた。
そして、今現在私達のように自主練しているのは私やすずか、雫に天之河と坂上のたった5人だけで今や六分の一のメンツしかいない。
そして唯一行方不明扱いになっている正人はというと隠していた魔力操作等がバレ裏切り者、異端者と王国や教会からも罵声を上げる始末でその顛末をきいた私は胸くそ悪いと思ったのは言うまでもないだろう。
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