7話
馬車に揺られ、ゴツゴツした岩石が目立つ荒野を走り抜ける。
朝に出発したが既に太陽が真上へと昇っていて、かなりの時間、馬車に揺られているのが分かる。
そんな俺が乗る馬車は俺の他にハジメやアリサとすずか、それと天之河、坂上、雫、香織の8人にメルド団長とかなり豪勢なメンツが揃っている。
ただ豪勢とはいえ空気は物凄く重い。
主に俺と天之河のせいなのだが
何でまた同じ馬車に乗せたのかその犯人はおおかたメルド団長なのだろうが、そのメルド団長も苦い顔をしていた。
「どうするのよ、正人…物凄く空気が沈んでるわよ!」
「知るか!寧ろ俺がこの状況どうにかしてと言いたいぐらいだ」
隣にいるアリサが周りに聞こえない位に小声でこの状況の打開を俺に訪ねるが寧ろ俺が聞きたいことでありその言葉をそのまま返した。
そんなこそこそ話をあの男が見過ごすわけがない。
「何をこそこそと話しているんだ?俺達にも関係のあることなら教えてくれないいか?」
天之河だ。
天之河が自分が原因の一つだとはいざ知らず、アリサに訪ねてくる。
俺でないのは単に話を聞いても教えてくれないだろうといういつも通りの自論からだろう。
といってもアリサとすずかもこれまでの天之河の奇行を見てきたことで信用の欠けらもない。
しかしアリサという少女は物事はハッキリという少女だ。故にアリサは天之河であってもはぐらかさず。話し出す。
「ただ単に空気が重いってだけよ!あんたと!正人のせいで!」
「…アリサ、直球だな……俺はともかく、あっちがその気がなければどうしようも無いぞ」
「八坂?それはどういうことだ?」
「俺が何を言おうが俺を悪だと切り捨てるだろ?」
「なっ!?そんなことはない!?」
そう断固否定するが天之河だが、とてもじゃないが説得力に欠けている。
現に俺を切り捨てている辺りを考えれば、自ずとそういう考えに行き着いてしまうのだ。
重い空気は晴れるどころか更に重くなっていき、流石に見かねたハジメが意を決して話し始めた。
「あの…天之河くんと正人くんって…結構付き合いが長いけど…昔からこんな感じだったの?」
「んあ?光輝と八坂か…いつもこんな感じだった気がするが…」
「そうね、言われてみれば、あった当初から犬猿の中だった気がする。」
「私が紹介したんだよね…確か…」
坂上が頭の中の記憶を振り絞り、初めて会った日のことを思い浮かべ、雫も当初から俺と天之河が仲が悪かったことに改めて頷く。
そして香織が初めてあわせたあの日のことを思い出したのか、明確な日時を思い出そうとすると俺が先に口が開く。
「6年前の1月の上旬だ。わざわざ八坂神社まで来ただろ?」
「そうそう、正人くん、覚えててくれたの?」
「……覚えていたというより、あの時期は色々ごたついていて、記憶に残ってただけだ。」
「…あの事件の後か…」
「仕方ないといえば仕方ないよね…」
正確な日時を教えるとそんな昔の出来事を良く覚えていることに香織は不思議がり俺は上手く誤魔化すが小声で話す。事情を知っているアリサとすずかを見て、他に聞こえていないのを見渡しほっとする。
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