第16話 まっきー
「よく知りもしないくせにストーカーとか言わないでくれるかしら?この変態っ!」
「変態はあんただろーがっ!
俺は好きな人に告白するために、色々あって町中の人に声をかけてたんだよ!」
「はぁ??どういうことよ??」
「うるせっ、あんたには関係ねえよ!」
勉強を教えてくれる人が見つかるどころか、訳の分からない女に絡まれてしまった。
最悪だ、まじで。
ていうかこの人見た目だけなら絢瀬さんにも匹敵するくらい美人なのに中身が残念すぎるだろ!?
「はいはい、もうこれ以上面倒毎はやめなさい。
今なら厳重注意で許してあげるから、これ以上騒いだら親御さんに連絡するよ?」
俺と喋っていた方の警官が俺と変態女にそう言い放ち、何とかその場は落ち着いた。
変態女はずっと俺の方を睨んでいたが。
その後、警官の言う通り注意だけで解放してくれたので自由の身になったが・・・
これで宿題を終わらせる目途が潰えた。
・・・どうしよう。
俺が途方に暮れていると、
「ちょっと。」
急に後ろから声がしたので、振り返るとそこには、
「げっ、さっきの変態女じゃねーか!?」
そう、先ほど交番で言い争った赤髪の女がいた。
ついて来たのか?
さすが、ストーカーだな・・・。
「変態女って言わないで!
・・・それよりあなたに聞きたいことがあるのよ。」
と、自分の髪の毛をクルクルしながら、少しバツが悪そうにそう言ってくる。
変態女が俺に聞きたいこと?
何だ、パンツの色でも聞かれるのか?
「あなた、さっき好きな人のために町中の人に声をかけたって言ってたわよね?」
「・・・そうだけど。」
質問の意図がよくわからない、何を企んでいるんだ?
「あなたはどうして好きな人のためにそこまでできるの?
事情は分からないけど、町中の人に勉強を教えてくれと頼むなんてそうそうできないわ。
周りから白い目で見られるでしょう?」
と、真剣な表情で俺に聞いてくる。
・・・なんなんだいったい?
そんな真剣な顔されちゃったら答えるしかないけどさ。
「そりゃ、その人が好きだからだからだ。
その人のためならなんだってするさ。」
「・・・そう、
好きならなんだってする、ね。」
と、赤髪の女は俺の言葉をかみしめるようにゆっくり繰り返した。
神妙な顔つきで、だ。
・・・何だよ、さっきまで頭がおかしい女だと思ってたのに、急に真剣になりやがって。
調子狂うな・・・。
「私ね、にこちゃんっていう女の子が好きなの。
小さくて、可愛くて、とても思いやりのある素敵な子なの。」
赤髪の女はしばらく黙って考えている様子だったが、突然ポツポツと語り出した。
その重々しい空気に俺もとりあえず耳を傾けることにした。
なるほど、女の子が好きなのか・・・。
当然、話の流れ的にラブの方だろう。
「でも、私女じゃない?
だからおかしいのかなって・・・。
でもこの気持ちはどうやっても抑えきれなくて・・・。」
それでストーカーみたいなことをしたってわけか。
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