ハーメルン
高坂穂乃果に弟がいたならば
第8話 出会い

~半年前~

・・・はあ。

何もやる気が出ない・・・。

ことりさんと海未さんの二人と喧嘩、いや、喧嘩と言っていいのか分からないが、とにかく二人との関係性が気まずくなり、最近はずっと最悪の気分だ。

・・・早く帰ってゲームしたい。

ところが、悪いことというのは、続くらしい。

「では、今から成績表を返していくぞー」

先生のその一言で最悪だと思われていた気分がさらに悪くなるのを感じる。
テストなんてこの世からなくなればいいのに・・・。

勉強は嫌いだ、なぜしなくてはいけないのか分からないからだ。
英語とか数学とかこの先役に立つのか?

そんな考えを持っていると当然成績がいいはずもなく、

「おい、高坂、もうちょっと頑張ったらどうだ?
高校に行けないぞ?」

と、ありがたいお言葉とともに渡された成績表には、
246位と記してあった。
248人中だ。

いつものことだ。

ま、後二人俺より、下がいるならいいか、
と成績表をポケットに押し込み、勉強のことを考えるのはやめた。

学校が終わると、まっすぐに家に帰った俺は、早速ゲームをした。

ゲームはいい。
嫌なことも全部忘れて、夢中になれるからだ。
それに、続けていくうちにどんどんうまくなっていくことが楽しくてしょうがないのだ。

ゲームをしていると、途中で雪穂が帰ってきたので一緒にスマブラをすることにした。

しかし、

「あ~、もうやめやめっ!夏樹強すぎ。」

と、わずか2回戦しただけで、雪穂がコントローラーを放り出してしまった。
雪穂もちょくちょくゲームはしてるみたいだが、最近ずっとゲームをしていた俺と、いつの間にか実力の差が開いていたらしい。

「・・・ていうかさ、夏樹なんかあったの?」

俺が雪穂に構わず一人でゲームを続けようとすると、そんなことを言ってきた。

流石双子の姉だ。
俺の様子がおかしいことをとっくに見抜いていたようだ。

「・・・別に。」

が、当然何があったのか答える訳もなく、そのままゲームを続けた。

「・・・ふ~ん、まあいいけどさ。ゲームもほどほどにね?」

と、言って自分の部屋に行ってしまった。

それからもゲームを続けていが、母さんから、ゲームをしてる暇があるなら買い物に行って来いと、家から追い出されてしまった。

面倒だ、しかも買ってくるもの多いし・・・。

仕方がなく、スーパーに向かうが、途中で面倒になり、通りかかった公園のベンチで休憩することにした。

もう少しで春とはいっても、まだまだ寒い季節は続いている。
夕方ということもあり、公園には他に人の姿はなく、静かな空間が広がっていた。

そんな雰囲気だからだろうか、思い出したくもないことを思い出してしまう。

・・・二人に嫌われてしまっただろうか?
なぜあそこまで言ってしまったのだろうか。
もっと言い方があったのではないのか?

ベンチで過去の自分の行動を悔いていると、
前から声をかけられた。

「どうしたんですか?なにかあったんですか?」

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