ハーメルン
腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ
中間試験


「?比企谷君の彼女は貴女なのでは?」

「?違いますよ」

「そうなんですか?登校中に堂々と比企谷君に抱き抱えられていたので彼女かと思いました」

椎名の発言に廊下の空気が凍りつく。そういや椎名には坂柳をお姫様抱っこした理由について話してなかったな。

「ち、違う。アレはトラブルから逃げる為だったんだよ。ほら、坂柳って身体が弱いから」

「なるほど。比企谷君は坂柳さんを抱えてあげたのですか。そうでしたか、勘違いしてすみませんでした」

「あ、はい。誤解が解けたなら何よりです」

椎名がペコリと頭を下げると坂柳は若干戸惑いながらも椎名の謝罪を受け入れる。

「あ、申し遅れました。Cクラス所属の椎名ひよりです。比企谷君の友達をやってます」

「ご丁寧にありがとうございます。Aクラス所属の坂柳有栖です。比企谷君をお世話してます」

「おいコラ。俺はお前の世話にはなってないからな?」

何度か勉強を見て貰ってはいたが、それだけだ。坂柳の言い方だと俺に関してあらゆる方向から面倒を見ていると周りの人間は思うだろう。

つか寧ろお前が神室の世話になってるだろうが。神室は基本的に坂柳の荷物持ちをしてるし、雨の時は傘を2つ持って片方に坂柳を入れてるし。

「そんな……酷いです。夜に何度も比企谷君の部屋でお世話をしたのに……」

坂柳の言葉に周りにいる人間が騒めくがちょっと待てや!世話して貰ったのは勉強に関してだけだ。坂柳の奴……夜に俺の部屋なんて言ったら完全に「あ、私も何度か経験がありますね」椎名ぁっ!勉強を!言葉に勉強を入れろ!この天然野郎が!

『ええっ!』

案の定Aクラス所属の坂柳の部下からは騒めきが生まれる。予想外の援護射撃に坂柳も呆然としている。

最早収集不可能だ……これ以上ここにいるとマジでヤバそうだ。

「全部勘違いだからな!行くぞ椎名。お前らは打ち上げ楽しんでろ」

俺は早足でこの場を後にする。明日から学校に行くのが怖くなってしまったのは言うまでもないだろう。

尚、俺に追いついた椎名に「さっきの経験ってお前が俺に勉強を教えて世話をしたって意味だよな?」と聞いたら普通に頷いて軽くイラッとなってしまった。




3日後……

俺が椎名と坂柳と肉体関係を持っているという不本意極まりない噂が流れながらも結果発表日を迎える。

教室では石崎を始めとした赤点候補組からはソワソワとした雰囲気を感じ取れる。

すると坂上先生が丸めた白い紙を持って教室に入ってくる。
 
「それでは結果発表を行う」

坂上先生は持ってきた白い紙を全て広げてホワイトボードに貼り付ける。そこには小テスト同様、クラス全員の各教科ごとの成績と合計点が書かれていた。

1番下を見ると全科目で石崎が最下位だったが、全て60点台だった。赤点の基準はクラスの平均を2で割った数字未満だから最高でも49点だ。その事からCクラスに赤点を取った生徒は1人もいない事を意味する。

それにより赤点候補組は安堵のため息を漏らす。彼らも入学して直ぐに退学は嫌だろうな。

「各教科の平均点は全て80点以上。おめでとう。これは4クラスの中で1番の結果だ。好成績で感心している。みなよく頑張ってくれた」

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