取引
「ふふっ、不良の雰囲気を醸し出しているお利口さんが言ってくれますね」
龍園の挑発に坂柳の額に青筋が浮かばせながらそう言ってくる。まあ確かに龍園が真面目に授業を受けているのってシュールに見えるんだよなぁ。そう考えると龍園ってお利口さんだよな」
「黙ってろ比企谷。次に同じ事を言ったらぶっ飛ばすぞ」
どうやら口に出していたようだ。以後気を付けよう。
「へいへい。ところで由比ヶ浜についてはどうなると思う?」
「そうですね……恐らくDクラスの生徒の中に彼女を助ける事に反対する生徒はそれなりにいるでしょうから、助かる可能性は余りないでしょうね」
まあそうだろうな。由比ヶ浜を助けるのには20万ポイント必要だ。しかしDクラスはクラスポイントを持ってないので入学式以降ポイントが増えてないので20万ポイントはかなりの大金だ。
ポイントを何万も残している生徒もいるとは思うが、そいつらは由比ヶ浜を見捨てたいと思ってる可能性が高い。
全員で割り勘すれば一人当たり5千ポイント程度で済むが、Dクラスの生徒の中にはポイントを使い果たした奴も多いだろうし、それはつまり何万も残している生徒の負担が大きくなる事を意味する。
ポイントを何万も残している生徒からしたら「何万も払ってまで由比ヶ浜を助ける必要性はない」と考え、ポイントの支払いを拒否する可能性が高い。雪ノ下あたりはそいつらに騒ぐかもしれないが、ポイント持ちは雪ノ下と徹底抗戦するだろう。
よって坂柳の言う事は紛れもなく正論だ。少なくとも俺がDクラスの生徒なら絶対にポイントを出さない。
実際由比ヶ浜は成績も悪く、知識量も少ない。運動神経も悪く、頭の回転も悪い。加えて過去問ーーー答えがあるにもかかわらず赤点を2科目も取ったのだ。残してもメリットが全く見当たらない。
感情論を使えば退学を免れる可能性があるが、感情論を抜きにしたら絶対に退学になるだろう。
「ま、どうなろうが坂柳に目を付けられた以上、卒業するのは無理だろうな」
「もちろんそのつもりです」
坂柳は即答する。坂柳の目には剣呑な光が宿っているが、さてさて、由比ヶ浜の命運はどうなるやら……いつ退学になるんだろうな。
俺はそんな事を考えながら龍園とCクラスの教室に入るのだった。
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