ハプニング
「いよいよ6月も最後ですね。明日、クラスポイントがどれだけ増えていると思いますか?」
「わからんが、クラス間の差はそこまで変わらないだろう」
6月最後の日の放課後の図書館、向かいに座る坂柳がそんな事を聞いてくるので、俺は質問に答える。
今日は坂柳の2人で放課後を過ごしているが、これは珍しいことだ。坂柳と過ごす事は珍しいわけではないが、その際は大抵ひよりや神室がいるし。しかし今日は2人とも部活なので坂柳と2人で理科の課題をやりながら雑談をしている。
「そうでしょうね。ポイントが動くとしたら夏、水泳が関係するであろう特別試験ですかね」
水泳?……ああ、そういや体育の先生が夏までに泳げるようにしてやるって張り切っていたが、やっぱり水泳が関係あるよな。
「もしそうならお前は参加できっ……あ!馬鹿した!」
そこまで話しながら俺は缶コーヒーを飲もうとしたが、余所見をしてしまい手からすっぽ抜けて理科の課題プリントを坂柳の物も含めて汚してしまった。
「済まん坂柳。巻き込んじまった」
「そんなに進んでないですから気にしないでください。とはいえ既に6時を回ってますので切り上げて新しいプリントを貰いに行きましょう」
坂柳はそう言って立ち上がる。今日は神室がいないので俺が荷物を持つ。
「わざわざありがとうございます」
「気にするな。というかプリントについてもお前の分も俺が取りに行くからお前は先に寮に帰って良いぞ」
坂柳は足が遅いので、多分坂柳が寮に帰る前に合流出来るだろう。
「いえ。もう少し比企谷君とお話をしたいので一緒に行きます」
まあ迷惑をかけた以上文句を言うつもりはないので、俺は頷き坂柳と同じ歩幅で歩き始め図書館を出る。
図書館を出た俺と坂柳は特別棟に向かう。特別棟は家庭科室や視聴覚室、理科室など頻繁に利用しない施設が揃っている校舎だ。授業が終わると人の気配がなくなり不気味だが理科の先生は特別棟に部屋を構えているので行くしかない。
「ところで比企谷君。龍園君についてですが、Dクラスを叩くという話を龍園君から聞いてますか?」
特別棟に入り階段を上ると坂柳がそんな話をしてくる。
「Dクラスを叩くってのは何度か聞いたな。ただ具体的な話は聞いてない」
「そうですか。では比企谷君。龍園君にDクラスを叩く時は私も力を貸すと伝えてくれませんか?」
「ん?龍園は停学や退学によるペナルティをDクラスを使って調べるつもりではあるが、お前も知りたいのか?」
つかDクラスを叩く為に龍園と坂柳が組むとか悪夢だろ?Dクラスの連中どころかBクラスも潰せる可能性がある。
「それもありますが、由比ヶ浜さんを追い詰めていきたいと思います」
由比ヶ浜だと?確かに由比ヶ浜は坂柳をdisりまくって坂柳に敵認定されたが……
「由比ヶ浜を挑発して暴力を振るわせるのか?」
「まさか。それでは面白くありません。暴力を誘発させるなら違う生徒にします。例えばDクラス1の不良と言われている須藤君とかですね」
まあ須藤の短気っぷりなら余裕で暴力を誘発出来るだろう。
「それはわかるが須藤を停学や退学に追い込んでも由比ヶ浜には影響無くね?」
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