泥仕合
「では佐倉。そろそろ答えてくれ。須藤の暴力は過激だと思うか?思わないか?」
「っ……そ、れは……」
俺の質問に佐倉は真っ青になってプルプルと震える。佐倉本人もわかってるのだろう。YESと答えたら須藤は過剰防衛と判断され、須藤を守る為にNOと答えても全員が嘘と言われるって事を。だから何も言えない。
しかし言えないって事は都合が悪いからだんまりしていると第三者は思うだろう。
「ふむ……彼女は質問に答えない。明らかに過剰にもかかわらずだ。これはつまり都合の悪い事実から逃げている事を意味する。須藤君の嘘といい、Dクラスは狡い手を好むみたいですね」
坂上先生は俺の考えを察したようで悪い笑みを浮かべながらそう口にする。それにより佐倉は更に震えだす。これ以上責めるのはアレだし、そろそろやめてやるか。
「会長、本人は返答する気がないですが、聞きたい事があります」
「何だ?」
「この状態で処分を下すならどのような処分になるのですか?」
「先週須藤に通達したが、Cクラスが喧嘩を仕掛けたことを証明出来ないならば夏休みまで停学、及びDクラスのクラスポイントも差し引かれる。そして証明が完了してない以上、今言った処分となるだろう」
その言葉に須藤は歯軋りするが、自分で自分の首を絞めた張本人がそんな顔をするなよ?
「そうですか。ではその処分について意見を宜しいですか?」
「許可する」
「ありがとうございます。須藤についてですが、彼は非常に問題があります。中学時代にも暴力事件を起こしたにもかかわらず、高校生になっても気に入らない事があれば直ぐに恫喝や暴力に走り、今回の件について自分は正しいと思い込んでいる、挙句に先輩に対する態度も最悪ですし、審議中に都合が悪くなったら嘘を吐く……人として完全に終わっています」
「テメェ!」
須藤がブチ切れるがシカトする。
「そんな問題しかない須藤に対する処分ですが、彼を停学にしたりクラスポイントを減らしても反省しないのは明白ですし、Dクラスの生徒が可哀想です。よって須藤に対する罰に停学やクラスポイントの没収は意味が無いでしょうから反対します」
俺の言葉に一瞬だけ沈黙するが……
「比企谷君?!何を言っているのかね?!」
坂上先生が焦ったようにそう言ってくる。石崎達も俺に対して焦りと怒りを宿した眼差しを向けてくる。
一方Dクラス側の須藤と佐倉はポカンとした表情を浮かべ、堀北と茶柱先生は訝しげな表情を浮かべ、綾小路は無表情でこちらを見てくる。
会長と坂柳については興味深そうに俺を見る。
「では須藤を無実にすると?」
「いえ。須藤が暴力を振るった事についてお咎め無しにするのは今後の為になりません。ですから……
須藤に対してバスケットボール部から永久退場する罰を与える事を提案します」
俺はそう告げる。それにより生徒会室に沈黙が生まれる。
しかしそれも一瞬で……
「ふざけんじゃねぇよ!何で俺がバスケ部を辞めなくちゃいけないんだよ!」
須藤はこれまで以上に真っ赤になって机を叩く。轟音が生徒会室に響き佐倉はビビリだす。
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