支給ポイント
石崎達が訴えを取り下げた日の翌日、俺は目を覚ますなり携帯を操作してポイントを確認する。
(ちゃんと58600ポイント振り込まれてるな。良かった良かった)
事件が解決したしポイントが振り込まれるのは当然だな。とりあえず今日はひよりと本を買いに行くか。
俺はそのままパジャマを脱いで制服に着替えて朝食を食べて部屋を出る。
そしてエレベーターを待っているとドアが開くので中に入ると、昨日審議をした堀北がいた。
「ねぇ比企谷君。聞いて良いかしら?」
「?何だ?」
「今朝、ポイントは振り込まれた?」
「振り込まれたがそれがどうかしたか?」
「何故か私の端末にはポイントが振り込まれてないのよ。事件の後始末が終わってないから学年全体に振り込まれてないと思ったけど違うようね」
ほほう。Dクラスは今月も0ポイント生活のようだな。
「もしかして須藤以外にもやらかした生徒がいるんじゃないか?」
「考えたくない事実ね……」
堀北はため息を吐くがやらかしたのは須藤だろう。
「ちなみにだがよ、昨日お前らはどうやって石崎達に訴えを取り下げさせたんだ?アイツら全く事情を教えてくれないんだよ」
まあ実際は全て知ってるけどな。
「さぁ?私も予想外だったから知らないわ」
見事のポーカーフェイスだ。これを見抜ける奴はそう居ないだろう。
「そうか」
そう返事をした所でエレベーターのドアが開いて寮のエントランスに着くので、俺は堀北と別れて自販機に行き無料のミネラルウォーターを購入する。ああ、MAXコーヒーが売られてないのが辛い……
ため息を吐きながら学校に向かおうとすると、最悪な事に由比ヶ浜と鉢合わせしてしまう。
面倒だから無視して学校に行こうとした時だった。
「待つし!ヒッキーDクラスに何をしたし!」
由比ヶ浜が喚くが、何を言ってんだ?
「何の話だよ?」
「とぼけんなし!昨日Cクラスが訴えるのをやめたのにポイントが入ってないし!ヒッキーが何かしたに決まってんじゃん!」
ウゼェ……やったのは俺じゃなくて坂柳だ。
無視したいのは山々だがこのまま喚き続けると面倒だし、嘘で誤魔化すか。
「生憎だが俺の端末にもポイントが入ってない」
「え?」
「だから俺の端末にも振り込まれてないって言ったんだよ。大方事件の後始末が完全に終わってないからだろ」
もちろん嘘だが、俺もポイントが振り込まれてないと言ったら、馬鹿な由比ヶ浜は信じるだろう。
「もう良いか。こっちは忙しいんだよ」
「あっ……待つし!まだ話は終わってないし!」
「何だよ……早く済ませろ」
「ゆきのんに謝るし!何でゆきのんに土下座しろって命令した奴を止めないし!ゆきのん可哀想じゃん!」
あー、その話ね。でもなぁ……
「論点をすり替えるな。アレはそもそもお前が赤点を取らなかったら起こらなかった問題だ。1番悪いのはお前が赤点を取った事だからな」
少なくとも1番悪いのは由比ヶ浜だ。過去問があるにもかかわらず赤点を取ったんだから。由比ヶ浜が赤点を取らなければ雪ノ下は土下座しないで済んだのは間違いない。
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