スパ
無人島での特別試験が終わってから3日、生徒らは無人島生活で溜まったストレスを発散するべく様々な施設を利用して楽しく過ごしている。
かくいう俺も無人島ではマトモな飯を食べれなかった反動かつい食べ過ぎてしまって体重が2キロも太ってしまった。旅行が終わったらダイエットしよう。
俺は水着片手に船内を歩く。俺は今から船内にあるスパ施設に行く予定だ。そこで海を見ながらジャグジーを楽しみたい。デッキのプールも悪くないが、あそこは人が多いからな。
そう思いながらスパ施設がある階層に向かうべくエレベーターに乗ると……
「「あ」」
エレベーターには有栖が乗っていた。しかも手には水着がある。つまり……
「お前もスパに行くのか?」
「ええ。気分転換に」
そう言う有栖の表情には珍しく苛立ちがあった。コイツがこんな表情を浮かべるなんて珍しいな。
「お前に何があったんだ?誰かからセクハラをされたのか?」
「セクハラより悪いです。さっきDクラスの雪ノ下さんと由比ヶ浜さんと鉢合わせしたのですが、Dクラスが無人島試験で1位だった事を高らかに自慢してきたのです」
なるほどな。由比ヶ浜に散々喧嘩を売られた有栖からしたら苛々するだろうな。つか、参加してない有栖に自慢してもなぁ……
「あー……どんまい」
「しかもこちらが陽乃さんの出涸らしと返したら由比ヶ浜さんは犬のように吠えますし……疲れました」
あー、由比ヶ浜の性格的にありえるな。つか由比ヶ浜って出涸らしの意味を知ってたんだ。ぶっちゃけ驚いた。
そう思っているとエレベーターは目的の階層に着いたので、俺達はエレベーターを出てスパ施設に到着する。
「ではまた後で」
「ああ」
そう言ってから俺は男子更衣室に行き、パパッと全裸になってから水着に着替えて、更衣室を後にする。すると施設には巨大な温泉やサウナ、岩盤浴やジャグジーがある。
暫くの間、入り口付近で待機していると女子更衣室の出口から以前着た白いワンピースタイプの水着を着た有栖が出てくる。
「お待たせしました。最初はどこに行きますか?」
「ジャグジーでどうだ?1番海の景色を見れるし」
「そうですね」
俺の意見に有栖は頷き、ゆっくりと歩き出すのてそれに続く。そしてジャグジーの前に着くと俺は一足先に入って有栖に向けて手を差し伸べる。
すると有栖は近くに杖を置いてから俺の手を掴んでゆっくりとジャグジーに入る。ジャグジーからは大量の泡が吹き出していて気持ちいい。
「あー、気持ちいい。このまま平和に1週間が終わればなぁ……」
「残念ながらそれはないでしょう。この学校が私達を1週間も遊ばせるとは思えません」
「だな。無人島試験が終わってから3日経過してるし、今日の夕方あたりに試験の説明があるかもな」
「私もそう思います。ですから最後の気分転換としてデッキのプールに行こうとしたんですが……」
そこで有栖は口を閉ざすが、由比ヶ浜と雪ノ下の所為で苛々したのだろう。
「とりあえずここで気分転換しとけ。この施設は夜には人気があるが、昼過ぎには人が来ないし」
現に今の時間帯には俺と有栖しかいないが、一昨日の夜に来たら人が何十人もいたからな。
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