ハーメルン
腐り目、実力至上主義の学校に入るってよ
鉢合わせ

メールが来てから数時間、俺は夕飯を済ませてから集合場所に行くべく、エレベーターを待っているとドアが開く。

「あ?比企谷じゃねぇか。もしかしてお前も20時40分集合か?」

エレベーターには龍園がいた。

「そうだ。お前もか?」

「ああ」

龍園が頷きながらエレベーターの閉ボタンを押すとエレベーターは動き出す。

「それにしてもどんな試験だか今から楽しみだぜ」

龍園はそう言っているが……

「お前も試験についてクラスメイトから聞いてないんだな?」

「こういうのは自分の耳が1番信用出来るからな。まあ他クラスとグループを組むってのは耳に入ったな」

その辺りは俺も知っている。飯を食ってる時もレストランでグループを組むだの優待者云々って聞こえたし。試験の内容は聞いてないが他クラスとグループを組んで優待者をどうこうする試験だろう。

「それは俺も聞いた。多分同じ時間に説明を聞く生徒同士が組むんだろうが、その場合有栖がいるぞ」

それを聞いた龍園は楽しそうに笑う。

「それは面白そうだな。ま、まだ坂柳に挑むのは早いか」

それについては同感だ。今有栖に挑んでもCクラスは負けるだろう。龍園が有栖に劣っているとは思わないが、駒の質は向こうの方が遥かに高いのは間違いない。

一方の有栖も葛城派を完全に屈服させた訳ではないので、余り派手な事はしないだろうし、争うとしても小競り合いレベルの規模の争いで終わる可能性が高い。

そう思っていると目的の階層の2つ上の階層でエレベーターが止まりドアが開く。

「おや?もしかして八幡君と龍園君も20時40分集合ですか?」

そう言ってくるのは数時間前に俺と一緒にスパ施設で過ごした有栖だった。

「ああ。その通りさ。ま、宜しくな」

「ええ。私はまだ試験の内容は知りませんが、場合によっては宜しくお願いします」

「葛城を屈服させるって意味なら構わないぜ。正直あの雑魚を倒しても面白くないからな」

「その辺りはご自由に。それにしても私も八幡君のような人材が欲しいです。八幡君と葛城君を交換出来たらどんなに嬉しいやら……」

「俺が大損じゃねぇか。言っとくが俺は比企谷の実力は認めてるが、信用はしてないし側近とは思ってないぞ」

「もちろんわかってます。私も八幡君がAクラスにいるなら側近にするよりビジネスパートナーにしますよ」

ま、そうだろうな。俺は自分の利益になる事を最優先にするんで誰かに対する忠誠心は持ち合わせてない。そんな人間は側近にするよりオブザーバー的な立場にするべきだ。

そんな事を考えていると目的の階層に着いてドアが開くのでエレベーターを後にする。俺は有栖の歩幅に合わせるが、龍園はそれを気にせず先に行く。

「八幡君、他のグループとの話し合いもあるかもしれないので置いていかれる訳にもいきません。ですから抱っこしてください」

おいおい……言ってる事は間違っちゃいないが堂々と頼むか?幾ら俺が有栖をお姫様抱っこしてる写真や動画が流出しているとはいえ、人前に出ろと?

「いやいや、流石にそれは「断るなら泣きます」……了解した」

俺に拒否する選択肢はなく、有栖の背中と足に手を当ててそのまま抱えて龍園のあとを追う。

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