説明
指定された部屋に入ると……
「おや、八幡君に龍園君もですか」
部屋にいたのはひよりとDクラス担任の茶柱先生だった。ひよりは同じグループで、茶柱先生は試験の説明担当だろう。
「早く席につけ」
茶柱先生にそう言われたので俺と龍園も席につく。同時に茶柱先生はプリントを片手に口を開ける。
「Cクラスの椎名、比企谷、龍園の3人だな。ではこれより特別試験の説明を行う。今回の試験では、一年生全員を干支になぞらえたグループに分けて行う。そして試験の目的はシンキング能力を問うものとなっている」
シンキング……考える力だよな。
「社会人に求められるものだが基本的には大きく三つに分けられる。アクション、シンキング、チームワークだ。この前の無人島生活では、チームワークに比重が置かれていたが、今回は思考力が必須となる試験だ。ここまでで質問はあるか?」
茶柱先生はそう言うが、今のところはないな。
全員が質問しないと茶柱先生は再度口を開ける。
「ここに居る3人は同じグループとなる。そして今この瞬間、別の部屋でもお前達と同じグループとなる生徒たちに同じ説明がされている」
やはりか。雪ノ下が同じグループとかマジで勘弁だな。まあ煩い由比ヶ浜がいないだけ良しとするか。
「つまり各クラスから3人から5人ずつ、計13人から15人程度のグループが12個出来るという事ですか?」
「そうだ。そしてお前達の配属されるグループは『辰』。ここにそのメンバーリストがある。これは退室時に返却させるので必要性を感じるのであればこの場で覚えておくように」
渡されたハガキサイズの紙。そこにはグループ名と合計14人の名前が記載されていた。
Aクラス:葛城康平 坂柳有栖 丸井智也
Bクラス:安藤紗代 烏丸塔矢 神崎隆二 津辺仁美
Cクラス:椎名ひより 比企谷八幡 龍園翔
Dクラス:櫛田桔梗 平田洋介 堀北鈴音 雪ノ下雪乃
ふむ……各クラスの主力が最低1人いるな。しかし一之瀬が居ないのか?Bクラスのリーダーがいないのは違和感を感じる。
「最初に言っておく。今回の試験では、大前提としてAクラスからDクラスまでの関係性を一度無視しろ。そうすることが試験をクリアするための近道だ」
その言葉に龍園の目が細まる。多分今のアドバイスは重要だと思う。
「今からお前達はCクラスとしてでなく、竜グループとして行動をすることになる。そして試験の結果の合否はグループ毎に設定されている」
竜ねぇ……ドラゴングループかぁ。
「特別試験の各グループにおける結果は4通りのみ。例外は存在せず必ず4つのどれかの結果になるように作られている。分かりやすく理解してもらうために結果を記したプリントも用意してある。ただし、このプリントに関しても、持ち出しや撮影は禁止されているからこの場でしっかり確認するように」
3人分用意された紙は少しくしゃくしゃになっていたが、前のグループが読んだからだろう。
書かれてある基本ルールは以下の通りだった。
『夏季グループ別特別試験説明』
本試験では各グループに割り当てられた『優待者』を基点とした課題となる。定められた方法で学校に解答することで、4つの結果のうち1つを必ず得ることになる。
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