グループディスカッション
12時58分。
1時から始まる試験が開始される2分前だが……
「はぁ、はぁ……済まんひより」
「いえ。私も気持ち良く思い、時間を忘れてました」
俺はひよりと船内の廊下を走っている。
何故こうしているのかというと、学校から優待者に関するメールが来た後に英気を養うべく、ひよりと一緒に寝たのだが目覚ましのセッティングを忘れ、目が覚めた時には試験開始5分前だったのだ。
ひよりは俺よりも早く起きていたらしいが、俺はひよりを強く抱きしめた上に起きる気配が全く無かったらしい。マジで申し訳ない事をしてしまった。
そう思っていると視界に俺達竜グループが使う部屋が見えてきたので、足を早める。
そしてひよりが一拍遅れて到着したのでドアを開けて中に入ると……
『ではこれより1回目のグループディスカッションを開始します』
ドアを閉めるタイミングでアナウンスが流れる。ギリギリセーフだな。
「ギリギリでしたね。お2人が遅刻するなんて何かあったのですか?」
有栖は不思議そうに聞いてくる。部屋にいる大半の生徒も訝しげな表情を浮かべている。例外は敵意を剥き出しにする雪ノ下とニヤニヤ笑いを浮かべている龍園だ。
前者はともかく、後者は遅刻の理由を理解しているだろう。つか起こせや。
「何って……ナニだろ?」
「黙れ龍園。殺すぞ」
「くくっ、怖ぇよ」
龍園は笑っているか一歩間違えればセクハラだからな?まあひよりを始めこの部屋にいる全員はわかってないようだが。
「……よくわからないけど、これで全員揃ったし先ずは自己紹介をしない?」
Dクラスの平田が戸惑いながらもそんな提案をしてくる。
「平田に賛成だな。この部屋に音声を拾うマイクがセッティングされてる可能性もある。自己紹介をしなかったらペナルティがあるかもしれないし自己紹介はしておいた方がいいと思う」
Bクラスの神崎は平田に賛成する。まあ自己紹介くらいはやっても不利にならないだろう。
これについて全員同じ考えのようで、全員で自己紹介をする。まあ名前だけしか言わない寂しい自己紹介だが。
「では学校からの言いつけも聞きましたし、話し合いを始めましょうか。八幡君はこの試験についてどう思いますか?」
「……何故俺に聞く?」
「私がこのグループで危険と見ているのは龍園君と八幡君です。しかし龍園君の場合、話したい時に話す人間ですから」
その言葉に不穏な気配を感じたので、気配のした方向を見れば雪ノ下が有栖を睨んでいた。大方有栖に遠回しに「お前は眼中にない」発言されて気に入らないのだろう。
ともあれ無視しよう。
「そうだな……普通に考えたら結果1、全員で協力して優待者を当てるのが理想的だが、現実的じゃないな」
「まあそうですね。Dクラスの4人も裏切る可能性がありますね」
「だな。何せ由比ヶ浜や須藤みたいなゴミ屑がいて貧乏だしな」
有栖と龍園はそう言っているが、俺からしたらお前らの方が裏切るのは明白だ。
「その口を閉じなさい。由比ヶ浜さんの侮辱は万死に値するわ」
龍園の煽りに雪ノ下がキレるが龍園は鼻で笑う。
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