王
「じゃあ龍園の指示にも従わないって事か?」
「もちろんクラスが団結しないといけない場面に遭遇したら協力はします。ですがそれ以外では積極的に動く事は考えてないですね。私としては……」
「私としては?」
俺が尋ねると椎名は笑顔を浮かべて……
「クラス間の争いをするよりも、比企谷君と一緒に本を読むのが1番楽しいですから」
とんでも爆弾を投下してきた。
この野郎……そ、そんな事を良い笑顔でハッキリと言うな。顔が熱くなって仕方ないんだが……!
「そ、そうかい……」
「比企谷君はどうですか?私と過ごして嫌じゃないですか?」
ハッキリと聞くな馬鹿!椎名の顔を見る限り含むところはないので純粋な気持ちで聞いているようだが、その純粋さが今の状況では憎らしい。
「ま、まあ嫌じゃないな」
俺は顔に溜まった熱に苦しみ、椎名から若干目を逸らしながらそう答える。
「良かったです。これからもよろしくお願いします」
当の椎名の声は弾んでいるが、椎名ってある意味龍園や坂柳よりも強いかもしれない。この天然っぷりは俺の心臓がもたないぞ。
しかし……
「ああ……よろしく」
誰よりも魅力的な笑顔を浮かべている椎名を見ると自然と拒否する選択肢が無くなっているのだった。
結局俺は恥ずかしい気持ちを抱きながら椎名と一緒にショッピングモールで本を買って充実した1日を過ごすのだった。
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