四話 血鬼術
だが、これはあくまで足止めに過ぎない。鬼を本当に殺すには狂水で鬼の血を全て体内に取り込み、その中の無惨の血を分解する必要があった。だが流石は上弦の壱という訳か。分解が困難なほどに無惨の血が濃かったのだ。
この濃度だと大量に取り込めば分解するどころか逆に身体を支配されてしまうだろう。故にこの鬼は幽月の血鬼術をもってしてでも殺せない。それに今は痛みに悶え苦しんでいるが、いずれは痛みに慣れて硫酸にも適応してしまうだろう。鬼とはそういう生物なのだ。状況に応じて自らの身体を作り変える可能性を秘めている。ここまでか。
「黒死牟さんよ。業腹だけど、ここは痛み分けといこうじゃないか」
そう告げると幽月は投げ捨てた番傘を拾い刀身を納めた。そして地面に散らばった血を回収すると痛みに悶える黒死牟を背に走り去ったのだった。
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