ハーメルン
21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!
1.あさおんから始まる未来世紀
「ウリバタケ様ですね。今から、ウリバタケ様にはとても辛いことをお伝えしなければなりません。心して聞いてください」
「はい……?」
「ウリバタケ様。残念ですが……あなたはお亡くなりになりました」
……マジで?
◆◇◆◇◆
ヒスイさんが言うには、俺は死んだらしい。
じゃあここは天国か何かか、と聞いたが、違うと言われた。そういえば普通に神奈川の横浜って言われてたな。
なんでも、俺はこの27世紀の時代から200年前の25世紀に行われた、『過去を覗く時空観測実験』の失敗で死んでしまったらしい。
「こちらが時空観測実験で干渉された直後の、21世紀のウリバタケ様の家屋跡となります」
そう言ってヒスイさんは、空中に画面のようなものを投影して見せてくれた。そこに映っていたのは、俺の住む家の敷地と、その中心にある見事なクレーター。
俺は家ごと時空に飲まれて死んでしまったようだ。
そして、失敗した時空観測実験が行われてから200年後の今現在。新たに行われた実験で〝次元の狭間〟とかいう場所を研究者が覗いたところ、俺が死体となって漂っていたらしい。そこをサルベージされ、死体から魂を引き出し、ガイノイド……女性型アンドロイドのボディに魂をインストールしたというのだ。
正直、信じ切れない。テレビのドッキリや映画の『トゥルーマン・ショー』を疑うところだ。
だが、今の俺は女になっている。たかがドッキリのために性転換などしていられないだろう。というか、身長すら変わっているので、手術で性転換しているわけじゃないのは解る。現代の技術ではおそらく不可能だ。
なので俺は、自分の死体を見せてもらうことで、この現実を受け入れることにした。
……死体はグロかった。なんかねじ切れていた。
口の部分は無事だったので、歯の治療痕で自分の死体だと理解できた。
というわけで、俺は27世紀の未来にタイムスリップして、女になってしまった。女というかアンドロイドだが……。
「バイオ動力炉搭載なので、食事もできますよ。機能選択で、ほとんど人間と変わらない生理現象も起こせます」
そうヒスイさんに言われたが、トイレとかの必要がなくなるならば、ボディの機能を人間に近づけすぎない方がいいな。
しかし、今後はどうしたものか……。今は保護をしてもらっている状態なのか?
そこのところをヒスイさんに聞いてみたのだが……。
「ヨシムネ様のご遺体は、21世紀の人類の医学的・考古学的な価値があるため献体され、その貢献が認められ一級市民の資格がヨシムネ様に与えられる予定です」
「えっ、俺の死体、研究とかに使うの?」
敬語は不要と言われたので、ヒスイさんにはタメ口だ。
代わりに、名前呼びをしてくれるよう頼んでいる。瓜畑ってなんかダサいからな。
「はい。ご不快でしたか? これ以上の研究を拒否し献体を拒むのでしたら、準一級市民に降格してしまうのですが……」
「あ、いや。俺、ドナーカードとかも持っていたし、医学とかの学問に貢献できるならいいかな。死体を墓に埋めるとか言っても、まだこうして生きているしね」
「現代の人類は魂だけとなっても生きられるため、ご遺体を墓地に埋めることは稀になっていますね」
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