ハーメルン
21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!
10.St-Knight(対戦型格闘)<1>
プランターには、植物の苗が植えてある。サイズとしては、今後に期待って感じだな。
「購入したのはホヌンの苗とペペリンドの苗ですね」
「全く聞いたことのない植物だ。21世紀にはなかったのかな」
「そうですね。近年作られた野菜です。花も綺麗な物が咲きますよ」
「楽しみにしておこうか。枯らさないように頑張ろう」
「私に全てお任せください」
「ヒスイさんが頼りになりすぎる……!」
そして、俺達はまたVR機器であるソウルコネクトチェアのもとへと戻った。
俺はチェアに座り、言う。
「では、続きはVR空間で!」
目を閉じて、魂が電脳世界に繋がる感覚を俺は楽しんだ。
◆◇◆◇◆
VRのホーム空間。相変わらず真っ白で何もない。
ここのカスタマイズは、ライブ配信をするようになってから視聴者と一緒に整えたいと思っているので、今はノータッチだ。
「それじゃあゲームを進めていこう。ヒスイさん、今回のゲームは?」
ヒスイさんも俺と同時にホーム空間に現れていたので、撮影続行しているとみなし、そう話しかける。
「今回プレイしていただくのは、『St-Knight』という人気ゲームです」
ヒスイさんがそう宣言するとゲームが起動し、タイトルロゴのある空間に切り替わる。
お、今回はBGMが鳴り響いているな。勇ましい曲だ。さあ戦おうって気分になってくる、そんな曲である。
「『St-Knight』は、武器を持って戦う対戦型格闘ゲームです」
その曲を背景に、ヒスイさんがゲームを紹介する。
「格ゲーが来たかぁ」
「ヨシムネ様、今の世の中でもっとも親しまれているゲームジャンルは何か、ご存じですか?」
「なんだっけ、前に聞いたな……そう、MMORPG!」
「そうです。特に二級市民の方々に一番広く親しまれているゲームジャンルであるMMORPGは、武器を持って戦うアクション要素が高確率で組み込まれています。そんなMMOのゲームを数多く運営・開発しているとあるゲームメーカーが、『数あるMMOのプレイヤー達の中で一番強い奴は誰だ?』という売り文句で販売したのがこのゲームです」
「挑戦的なキャッチコピーだな!」
「このゲーム、用意されているシステムアシスト――こういう動きをしたいと思ったら、所定のモーションに従って身体が勝手に動いてくれる機能――のアシスト動作の種類が、非常に豊富です。自社のMMOで採用されている物のみならず、他社の人気MMOのアシスト動作に似た動きも再現して取り入れているというのですから、MMOのPvP強者達は当然このゲームに飛びついたわけです」
「はー、開発の思惑通りにいったってわけだな」
「はい。今の時代、MMOというものは生活シミュレーションとしてプレイされる傾向が強く、PvE――プレイヤーと敵モンスターとの戦い――ならまだしも、PvP――プレイヤー同士での戦い――をたしなむ人は少数派でした。そんな少数派がいろいろなMMOから集まって一大集団となったのが、この『St-Knight』のオンライン対戦モードです」
なるほど、ゲームの垣根を越えて人が集まったのか……。少数派でも数を集めれば多数派だ。対戦好きが一堂に集まっているわけだな。
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