ハーメルン
21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!
16.ヨコハマ・サンポ(位置情報ARアクション)<1>
そう、それが住処をばらしてしまう理由だ。ニュース記事に、ヨコハマ・アーコロジーで次元の狭間の観測実験が行なわれ、その過程で俺が保護されたことがばっちり書かれている。
『そうなのか』『そういえばそうだった』『リアル側のニュースとか普段見ねえ』『ゲームの中で生きてるからな、俺ら』
「ゲーム内容の説明を続けますね」
話を脇道にそらしてさーせん。
「このヨコハマ・アーコロジーは主に研究用の実験区として建てられた物ですが、外からの観光客も受け入れています。このゲームは、そんなアーコロジーの観光案内のために作られた作品です。プレイヤーの位置情報を読み取って、観光スポットをチェックポイント的に巡らせていくという趣旨となっています。プレイヤーの視界にキャラクターがARで表示されるので、プレイヤーは観光スポットを背景にそのキャラクターを操って遊びます」
ARとは拡張現実のことで、VR技術の一つだな。リアルの視界に重ねて文字や画像を表示したりする奴だ。
俺のいた21世紀ではまだ、直接視界に文字や画像を表示することはできなかった。専用の眼鏡型端末を装着して、そのレンズに表示を行なうことで、現実世界に文字や画像を重ねることを実現していた。
『ほーん』『ヨコハマ限定ゲームってことだな』『私達では遊ぶ機会がなさそうですね』『ゲームプレイ動画も存在しないしな。ヨシちゃんが初配信』『行政区の公式ゲームってなんかお堅そう』
「実は、そのヨコハマ行政区からこのゲームを宣伝してくれって頼まれたんだ。このゲームの利用者がいないらしくてねー。ヨコハマ行政区所属のヒスイさん経由で、話が来たってわけ」
『ヒスイさん行政区所属なんだ』『ヨシちゃんちの万能メイドじゃなかったの?』『言われてみればいつもの服は行政の制服っぽい』
「ヒスイさんは行政区の人。俺は行政区に保護されているだけの人」
それなのに甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるヒスイさんには、とても世話になっていますよ!
「話を続けます。ゲームの内容は、人形アクションゲームです。自分の身体を直接動かすタイプではなく、キャラクターを操作する物ですね。市街地用ARゲームには人形操作型はよくあるタイプと言えるでしょう」
「自分の身体を派手に動かして、他の通行人に迷惑かけちゃいけないからね」
「そういうことです。ストーリーは、惑星テラに異星人が襲来してきたという設定です。異星人は情報生命体で、コンピュータウィルスとなってヨコハマ・アーコロジーの機械を操り暴れ出します。それを解決するために出動したのが、主人公、行政区所属の戦闘用ガイノイド、ギガハマコちゃんです」
「ギガハマコちゃん」
『ギガハマコちゃん』『ギガって……』『テラもいそうやな……』
「ギガハマコちゃんはプレイヤーと一緒にアーコロジー内を移動します。そして、所定の観光ポイントでプレイヤーはギガハマコちゃんを操り、暴れている業務用ロボットを三次元アクションで鎮圧します。倒した業務用ロボットからはパーツを獲得することができ、パーツを装着することで新たな技を繰り出すことができます。ゲーム推奨の観光経路を辿ると、手に入れた最新のパーツが次のポイントの敵の弱点になっていて、スムーズにゲームを進行することが可能になりますよ」
「んんー? 弱点になるパーツを獲得していくって、ギガじゃなくてメガならすごい聞き覚えのあるゲームシステムだなぁ」
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