ハーメルン
21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!
4.-TOUMA-(剣豪アクション・生活シミュレーション)<2>
「いかがでしたか?」
「うん、いいんじゃないか。これでいこうか」
「はい、ではアップロードしておきますね」
さて、どうなるだろうか。
1000再生くらいはいくといいな……。
そんなことを思っていたのだが……、その日の就寝前に、ヒスイさんからとんでもない一言を言われた。
「10万再生いきました」
「……はあっ!? ちょっと待て、無名の投稿者の初投稿だぞ!?」
10万再生って、ごく一部の有名な配信者が到達できる領域じゃないのか。
「21世紀とは事情が違います。自動翻訳によって言語の壁はなく、人の住みかは宇宙に広がって人口も膨大です」
「そういうものなのか……すげえな未来の動画事情」
「まあそれでも見向きもされないものは、全く閲覧されないのですが……SNSでミドリシリーズの公式アカウントが宣伝を行なってくれました。今回に限っては、それが大きいでしょうね」
「SNSか……」
「興味ありますか? 私が配信告知用アカウントを運営するつもりでしたが、ヨシムネ様が直接やりたいならお任せしますけれど」
「いや、そういうのは得意じゃないんだ。ただ、この時代でもSNSってあるんだなって」
「そうですね。21世紀の偉大な発明の一つと言えるでしょう」
とりあえず俺は、動画についたコメントを見てみることにした。
『ミドリちゃんさんがゲーム動画進出とな』『おじさん少女吹いた。性転換ソウルインストールするやつとか都市伝説じゃなかったのか』『タイムスリップとかそんなご冗談を……マジじゃねーか!』『魂に性別はないとはいえ、このおっさん完全に男ムーブしとる。でも外見はみんなのアイドルミドリちゃん。頭おかしくなりそう』『アシスト無しゲーとか玄人好みすぎる……』『ゲーム初心者がやるようなゲームじゃねえな!』『ヒスイちゃんが良妻の予感。尊い……』『NPCとの交流ないの残念と思ったけど、この二人の会話があればいいな!』『加速時間が頭おかしい。生身の人間の脳じゃ不可能だな。時代はやはりサイボーグ化』『自動翻訳切ったらすげえ古風な日本語! 可愛い!』
「うーむ、肯定的な意見ばっかりだな……」
「動画配信サービスは常にAIにコメント監視されているので、基本的に行儀がいいですよ。でも、面白くなかったのなら、パート2の再生数が落ちますが……そちらも8万再生です」
今回の撮影分は、二本の動画に分けたんだったな。それぞれ十五分だ。三十分の一本の動画だと長すぎて脱落者が出るとのことだったが、継続視聴をしてもらえているか確認できる副次効果もあるとは。
二本目の動画は主にサトリ戦に編集の焦点が当てられており、長巻でゴリ押しした点などは多数の突っ込みが入れられていた。勝てばよかろうなのだ。
「順調な滑り出しのようで、よかったですね」
「ああ、今夜は気分よく眠れそうだ」
「久しぶりの長時間睡眠ですね」
「そうだな。おやすみ。明日もよろしく」
「おやすみなさいませ」
そうして俺は、動画配信初日の夜をぐっすり眠って過ごしたのだった。
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