ハーメルン
21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!
5.-TOUMA-(剣豪アクション・生活シミュレーション)<3>
「二十年モードですからね。一年モードなどでは、大物妖怪が弱いAIを載せてすぐに登場するそうです」
「あー、弱いAIはちょっと盛り上がらないな……今のモードは野犬ですら本気で殺しにかかってきたけど」
そんなこんなで、刀一筋で二年目は終わった。
リアルに帰り、ヒスイさんが自動調理器に食材を突っ込んでいる間に、自分の情報端末を起動する。
俺の情報端末は、身体に内蔵されている。その画面は空中に投影することもできるのだが、自分一人で見るだけなので網膜に表示させることにした。
VRの一種で、AR……拡張現実ってやつだ。多分。
そして昨日の動画を表示してみると……90万再生だと!? 未来人の人口が膨大だとしても、たった一日でこれは快挙だぞ!
「なにやら嬉しそうですね」
食事を運びながら、ヒスイさんが尋ねてくる。
「ああ、昨日の動画が90万再生までいってた」
「それはまた、おめでとうございます」
「ヒスイさんもおめでとう。動画を作ってるのは主にヒスイさんだからね」
「ありがとうございます。100万再生も近いですね。このまま伸び続ければ、他のミドリシリーズに自慢できますよ。ふふ……」
俺達の動画が面白いのは、確実にヒスイさんのおかげだ。休憩時間と睡眠時間を含めた700時間超の収録動画の中から、面白いシーンを上手く繋ぎ合わせているのだ。
今日の分の動画も期待しておこう。水田で足を滑らせたシーンとか、ぬりかべに刀が負けたシーンとか絶対に入ってるだろうな!
◆◇◆◇◆
今、俺の目の前には巨人がいます。
こちらの武器は打刀。どう渡り合えというのでしょうか。
「がしゃどくろとか、本格的に狩猟ゲーっぽくなってきやがった……!」
がしゃどくろ。巨大な人骨の妖怪である。
その巨体から繰り広げられる一撃は、こちらに命中すれば一撃で重傷まで持っていかれるだろう。
だが、そのモーションは遅い。
敵は前傾姿勢なので、こちらに手を振り下ろしてきたときに、その腕を駆けのぼって頭に刀を叩き込めば、いけるか!?
「うおー!」
避けて、駆けのぼる。今まで散々不安定な足場で妖怪と戦ってきたため、骨の上を走るなどわけがない。天狗のステージとか、岩山の上でかなりひどかったぞ!
「そおい!」
顔面に刀を打ちつける。すると、眼孔の奥に煌めいていた瞳が変色し、火花が散る。
よし、多分効いてる。今のはおそらくダメージエフェクトだ。他の妖怪でもこういう演出があった。
このまま顔面をボコボコにしてやる!
『おおおおお!』
「ぬわー!」
がしゃどくろがいきなり暴れ、振り落とされてしまった。安全地帯の確保は厳しいってか!
「ぐへっ!」
地面へと投げ出される。受け身は道場で散々練習をしてきた。ダメージは最小限だ。
しかし。
『おおおおお!』
「ぎゃー!」
起き上がる前に、がしゃどくろの腕の一撃が直撃し、俺の視界は暗転したのだった。
「油断しましたね」
「はい、面目ない……」
今日もヒスイさんと一緒に反省会だ。
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