ハーメルン
21世紀TS少女による未来世紀VRゲーム実況配信!
9.-TOUMA-(剣豪アクション・生活シミュレーション)<6>
『呪術師隊、あの汚れた太陽を地に落とすのだ!』
『おう!』
呪術を使う妖怪退治屋の集団が一斉に呪術を使うと、空亡は地面へと叩きつけられた。
『今だ!』
その号令で、侍達が空亡に斬りかかる。空亡は黒い炎を撒き散らしてその身を守ろうとしている。
「おお、今までにもない規模の総力戦だ。こりゃあ見物だな」
「ヨシムネ様も参加してください。主役なのですから」
「おっと、そりゃすまないね」
俺は打刀を構えて、地に落ちた空亡を目指す。だが、赤い妖怪の集団が邪魔だな。
『助太刀いたす!』
「お前はイケメン侍さん! イケメン侍さんじゃないか! 生きとったんかワレ!」
魔王の正体発覚イベントで、ここは俺に任せて先に逃げろをした人だ。
「ヨシムネ様は気づいていませんでしたが、彼は相当前から異界化した屋敷周辺の警邏隊に混ざっていましたよ」
「ええっ……」
そして俺は、立ちはだかる妖怪を全てなぎ払い、空亡の下へと辿り着いた。
空亡は呪術でその行動を縛られ、侍達によって斬りつけられその赤い太陽のような身体を鳴動させていた。
俺も、侍に混ざり、空亡への攻撃を開始する。空亡は馬鹿でかいため、集団でかかっても人でぎゅうぎゅう詰めになる心配はない。
「本当はここで壮大なBGMが流れるんだろうな……」
「カット編集する都合上、BGMは切っていますからね。どの曲が使われているかはログにあるので、動画にするときに当てておきます」
「動画になって初めて知るラスボス戦BGMよ……」
「BGMは聞こえるけど動画には収録されないという、配信者向けのオプションがあればよかったのですけれどね」
そんな無駄口を叩きながら、俺は空亡に打刀を叩きつける。
ちなみにここまできてもヒスイさんは参戦しないようだ。
「ヒスイさん、最後の総力戦だし、攻撃一発入れてみたら?」
「そうですね……。せっかくですし記念に一太刀」
ヒスイさんは万が一の時の援護用に購入していた打刀を構えると、するどい一撃を空亡に叩き込んだ。
すると。
「あっ」
「あっ」
今の一撃がラストアタックになったのか、空亡はまばゆい光を発して消滅してしまった。
「…………」
「…………」
思わず二人で無言になってしまう。周囲ではNPC達が勝ちどきを上げている。
そして、俺の周りに主要NPCなのか、イケメンや美少女のNPC達が集まってきた。
口々に健闘をたたえてくるが、とりあえず今はなんとかしてヒスイさんにフォローの一言を投げかけなければならない。
そして俺が絞り出せた言葉は。
「さすがヒスイさんです!」
さすヒスさすヒス。
「ううっ、まさかこんなことになるなんて……!」
「ヒスイさん、ファーストアタックがラストアタックは、快挙だよ。『-TOUMA-』動画史に伝説として残るよ」
「私達以外ほとんどこのゲームの動画を投稿していないのですが……」
「俺達が開拓者だ!」
マゾゲー扱いされているから、後追いが出るかは判別不能だけど。
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