彼は快活少女に打ち明ける。
図書室を出て職員室に駆け込んだDクラスの面々は、担任である茶柱先生に事情を問い詰めた。
一同を代表して堀北がテスト範囲が変更されたか否かついて尋ねると、先生はあっさりとそれを認めた。
しかも、伝え忘れていたと事も無げに言い放ったのだ。
当然そんな説明で納得できるはずもなく、池や山内は不満を口にしていた。
須藤もまた、言葉に出さないまでも不機嫌さを前面に押し出していた。
しかし堀北は、これ以上不満を口にしても状況が変わることはないと判断したのかすぐに頭を切り替えていた。
彼女は踵を返し、職員室を出る。
それに倣うように、須藤たちも渋々だがその後に続いて職員室を出た。
「櫛田さん、少しお願いがあるのだけれど」
廊下に出ると、すぐさま堀北は櫛田にあることを頼もうとした。
「なにかな?」
「新しいテスト範囲のことを、Dクラスの皆に知らせて欲しいの」
そう言うと、堀北は先ほど先生から受け取ったテスト範囲の書かれたメモを手渡した。
「それはいいけど、私でいいの?」
「この中で貴女が1番の適任者であることは、議論するまでもないこと。テスト範囲を勘違いしたままテスト本番を迎えるわけにはいかないわ」
「うん、分かった。私が責任を持って平田君たちに伝えておくね」
「私は明日以降に備えて、新しいテスト範囲からさらに絞込みをするわ」
堀北は努めて平静を装っていたが、その表情からは僅かに焦りが滲み出ていた。
必死に勉強した部分は無駄になり振り出しに戻された。
時間も一週間しか残されていない。
何より心配なのは池や山内、須藤のモチベーションだ。
「堀北。俺、明日から1週間部活休むから」
須藤がいきなりそんなことを言った。
「え?」
「形振り構ってる時間はねぇ。ここまできたらバスケに当てる時間も全部くれてやる」
「本当に構わないの?」
「男に二言はねぇ」
堀北の忠告を受けて尚、須藤の覚悟は揺らがない。
「しゃーない、俺もやるぜ」
「だな、ここで引き下がるのはカッコ悪すぎるしな」
須藤が覚悟を見せたことで池と山内にも火が点いたらしい。
彼らがやる気になっていると、柚椰が須藤に声をかけた。
「須藤、ベースはもうすぐ完成する。心配することはないよ」
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