彼らは証拠集めの算段を立てる。
昼休み。柚椰を始めとするいつものグループは食堂に集まっていた。
メンバーは柚椰、堀北、綾小路、櫛田。
そしてお馴染み池と山内と須藤の3人を入れた計7人だ。
綾小路は参加したくなさそうにしていたが、櫛田に誘われなし崩し的に同行する形となっていた。
「一難去ってまた一難、ね……頭が痛くなるわ」
堀北は頭を抱え深々とため息をついた。
「うぐ……面目ねぇ」
耳が痛い話であるため、須藤もいつものキレがない。
普段であればここで堀北と軽口の応酬が始まるのだが、今回は事情が事情のため須藤はかなり小さくなっている。
「で、でもさ! 須藤君は私たちのために怒ってくれたんだからさ、ねっ?」
シュンとしている須藤に櫛田がすかさずフォローを入れる。
「そうだね。なんでも俺や堀北を馬鹿にされて怒ったらしいよ? 泣ける話じゃないか。そうは思わないかい?」
「別に赤の他人にどうこう言われようと私は気にも留めないわ。勝手に義憤に駆られて挙句の果てに手を出すなんて、本末転倒もいいところじゃない」
「うぐっ……」
柚椰も櫛田に乗っかる形で堀北を諭そうとしたが、彼女はそれをバッサリと一刀両断。
彼女の言葉の矢が再び須藤に突き刺さった。
「ただまぁ、単に貴方が自分勝手な理由で人を殴ったのではないということは信じてあげるわ」
「堀北……! お前……」
須藤はキラキラした目で堀北を見た。
「最近の貴方の行いを考慮した上での判断よ。別に貴方とは友達でもなんでもないのだから勘違いしないで」
「お前は二言目には毒吐かないと死んじまう病気か何かか!?」
間髪を容れずに毒を吐く堀北に須藤は堪らずつっこんだ。
「でもさ、前の堀北ちゃんなら須藤のことなんて信じる信じない以前に見捨ててたんじゃね?」
「だよな。ちょっと前だったらこうして一緒に食堂にいることすらありえなかったし」
池と山内は堀北が多少なりとも須藤のことを評価していると指摘した。
2人のフォローに綾小路が便乗する。
「そうだな。前の堀北なら『須藤君の弁護なんてする気は無いわ。愚か者はさっさと退学してほしいわね』とか言ってただろ」
「……綾小路君、ひょっとしてそれは私の真似かしら? 非常に不愉快なのだけれど」
綾小路の全く似ていない、というより似せる気のないモノマネに堀北がギロリと眼光を鋭くする。
「ぷっ! くくくっ……! 綾小路、お前それっ……!」
「全っ然似てねぇ! 言ってる言葉はそれっぽいけどマジで似てねぇ……!」
池と山内は綾小路のモノマネがツボに入ったのか腹を抱えて悶絶している。
その様子に堀北の目つきが一層鋭くなる。
「綾小路君、貴方の不愉快なモノマネがこの2人はお気に召したみたいよ。よかったわね」
「顔と言動が一致してないぞ」
睨みつけながら言ってくる堀北に綾小路は苦笑いした。
「まぁまぁ、綾小路君のモノマネは一旦置いておいて、今後のこと考えようよ!」
櫛田がそう促したことで、彼らは本題に戻る。
「つーか、須藤のこと信じるってことで固まったわけだけど、実際どうすっかだよな〜」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/7
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク