第10話
「おい、どこ行くんだよ!」
ゾルダが言った。
「ここはオーディンの巣だ。やつはここにいる。やつをここで消す!そして、俺がこの戦いの頂点に…。」
『貴様では、私に勝てない。』
まるで頭の中に響くような声が、ベルデとゾルダに聞こえた。
「誰だ!」
ベルデが叫ぶように言った。
すると暗闇だった洞窟の中を眩い光が広がり始めた。
「うっ!」
ベルデとゾルダは、眩しさのあまり思わず目を背けた。
その輝きの中から、金色の鎧を纏うライダーが現れた。その鎧の装飾は不死鳥を彷彿させるものだった。
「オーディン…!」
ゾルダは、オーディンの放つ凄まじいプレッシャーを感じ、無意識で後退った。
「出たな、オーディン!」
ベルデは、迷わずオーディンに迫った。
「お前を倒し、俺がライダーの頂点に立つ!」
『無駄だ。』
ベルデは拳を前に突き出す。しかし、オーディンは簡単にそれを払い退ける。今度は蹴りをするも、同じく防がれてしまった。
SWORD VENT!
オーディンは、手に持っていた鳳凰召錫・ゴルトバイザーにカードを装填した。
そして、金色の二振りの剣・ゴルトセイバーが召還された。
「そいつは頂く!」
STEAL VENT!
ベルデのカードにより、ゴルトセイバーはベルデの手の内に収まった。
「はぁ!」
ベルデは剣をオーディンに振り下ろす。
『返して貰おうか。』
STEAL VENT!
オーディンに剣が当たる直前に、それはベルデの手から失われていた。
「何ぃ!?」
『ふん!』
オーディンは、元に戻った剣で代わりにベルデを斬りつける。
「うわっ!?」
ベルデが顔を上げると、そこにオーディンの姿が無かった。
「くそっ!どこだ!」
次の瞬間、背後に斬撃が走った。
「ぐはっ!」
ベルデが振り替えるとそこには誰もいない。しかし、またしても斬撃が背後より襲いかかる。
『言ったはずだ。貴様に私は倒せないと。』
オーディンが剣を持つ腕を広げる。すると、全身から黄金の羽根が飛び出し、ベルデに降りかかった。それは、ベルデの身体に触れると爆発した。それも数えきれないほどに。爆発が止むと、ベルデは地に伏せていた。
「ば、かな…。」
「あ~ぁ。」
様子を見ていたゾルダがベルデを見下ろした。
「北岡…、た、助けてくれ…。」
ベルデが身体を起こし、ゾルダの身体に寄りかかるように、肩に手を置いた。
「…全く。」
バァン!
「ぐふっ!?」
ベルデは視線を下ろすと、自身の腹部にマグナバイザーが突き付けられていた。ゼロ距離の射撃により、弾丸はベルデの身体を易々と貫いていた。
「情けないよ。あれだけ豪語してたあんたが。所詮、あんたも小者ってことだ。」
ゾルダは、脚でベルデを押し返した。
『貴様は戦わないのか?』
オーディンがゾルダに言った。
「ああ、そうさ。まだその時じゃないからね。」
ゾルダはそう言うとその場から去ろうとした。
「ま、て…。」
ベルデがゾルダに呼び掛けたが、ゾルダは聞く耳を持たず、そのまま去っていった。
『…賢明な判断だ。』
FINAL VENT!
オーディンの背後に金色の不死鳥型モンスター・ゴルトフェニックスが現れた。オーディンはその場から浮遊すると、ゴルトフェニックスが放つ七色の炎を身に纏った。
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