第一話「出会い」
――西暦2000年代の初頭。野比のび太は二度目となる鉄人兵団との戦いを終えた。そんな彼に別の時間軸の自分自身からタイム電話がかかってきたのは、西暦2000年のある日の事だった――
「やあ、大人のぼくじゃないか。どうしたのさ」
「君にこの間に伝えた子の事なんだけど、そちらに向かわせたよ。ドラえもんが連れてくると思う」
「うん。わかったよ。ママへの説明はどうする?」
「彼女自身とドラえもんにさせるよ。それと説明に困る事があってね」
「なんだい?」
怪訝そうに疑問を口にする少年のび太。2000年代初頭当時は12歳から13歳前後。電話の相手はそれから年月が経過した2010年代末の青年期の彼自身だ。
「その子、俗に言うところの魔法少女なんだよね」
「わーお……。本当に?」
「ただ、どちらかというと、セーラー戦士やキューティーハニーの系譜にも食い込んでいるから、君への説明が難しくてね」
受話器越しに苦笑いの青年のび太。
「まっ、来てみればわかると思うよ」
「どういう事?」
「そろそろ着くと思うよ」
青年のび太がそう告げたのと同時に、のび太が使う机の引き出しがいつもの調子で開き、少年のび太からすればだが、凄まじい衝撃となる人物がドラえもんに連れられてきた。それこそ、この時期、彼の家には既に、青年のび太の手引で平行世界からやってきた少女『月詠調』(名字の正式な表記は月読だが、彼女はさる理由から、この表記で通している)が住み込みの家政婦(とはいうものの、年齢が10代なので、学業もすべきとする、のび太の母である野比玉子の方針で、当面は表向き、下宿している学生という扱いである)として働いていたので、二人目の来訪者という事になる。
「……」(か、かわいい…!)
大抵の事に慣れている少女のび太も思わず見とれた、その少女。青年のび太のいう来訪者。その名を『キュアフェリーチェ/花海ことは』と言った。青年のび太が仕事の関係で出向いている23世紀の世界に連れてこられる事で、故郷の世界を蹂躙する邪な鋼の魔神の魔の手から辛うじて難を逃れたが、仲間である『キュアミラクル/朝日奈みらい』、『キュアマジカル/十六夜リコ』を喪い、心に相当な痛手を負い、療養を勧められて少年のび太のもとに送り込まれた。これが二人の出会いとなった。
「君が…?」
「花海ことはといいます。この姿ではキュアフェリーチェとも呼ばれています」
「野比のび太。事情は大人の僕自身から聞いてるよ」
フェリーチェはモフルンを抱きかかえていた。モフルンはマジンガーZEROの攻撃を身を以て受け止めたが、それと引き換えに元のぬいぐるみに戻ってしまった。フェリーチェはそれでも、みらいたちとの日々の象徴として、モフルンを自分が守ると決意し、この場に『連れてきていた』。リボンに若干、焼け焦げた後があるが、モフルンそのものは無傷であるあたり、モフルンが持てる力を全て使ってでも、フェリーチェを守ろうとしたのがわかる。
「私はみんなに守られました。その結果、このような生き恥を晒しています。私一人が残されるくらいなら、いっそのこと、戦って敗れたほうが…」
「君が生き残る事が朝日奈みらいちゃんと十六夜リコちゃんの願いなんだよ?生きていれば、再起できる機会はいくらでもあるさ。それに23世紀の技術なら、死体の蘇生もできるはずだ。仮面ライダーディケイドと鎧武が二人の遺体を回収したって連絡が入った。だから、深刻に考えないで」
[1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/5
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク