『サーゼクスが来た!』『前半よ!』
クリスマス
本格的な冬を迎えた本日の駒王町は、お天道様の何とも粋な計らいで一面の雪景色である。
「ふぁあ!遠坂さん、遠坂さん!ホワイトクリスマスですよ!」
「そうねぇ………平和だわぁ」
どうも皆さんこんにちは遠坂凛です。
宝石剣の制作に一段落ついた私は、こたつの中でクルマっております。アーチャー?彼はクリスマスケーキを買いに出かけました。アザゼルは用があって冥界に帰っております。多分年末まで帰らないでしょう。
裕斗達の住むマンション探しも何とかなって、何だか今年も「もう終わりなんだなぁ………」と思い耽っている私ですが、上級悪魔を狩る為に今までわざと緩めていた、つまり上級悪魔程度がいくら暴れようがビクともしない結界に罅が入った瞬間、「アーシア!」
アーシアを抱き締め、地面に超濃度の魔力を凝縮した宝石を投げつけました。「くっ!?」屋敷の壁が吹き飛び、粉塵から突き刺すように伸びた魔力放出は私が急揃えで展開した結界と交わり直ぐにピシリピシリと嫌な音を発てる。お世辞にも原典を越えたなんて私は驕らないけど、神秘の溢れるこの世界で今、私の展開した防御結界のランクはA。英霊の本気の一撃だって防げるレベルだって言うのに「10秒も持たないとか、どんだけ馬鹿げた魔力なのよ!」すぐさま次の宝石を地面に投げつけた。
「でも、私程度の小娘に防がれるなんて、敵さんは下級悪魔かしら?姿を現したらどう!」
絶対に解体してやる!そう意思を込めた遠坂の挑発に答えたのは紅色の長髪に派手なローブを纏った男。
「…サーゼクス!」
「………………」
と言うかなんでこんな事をしてんだと盛大にツッコミを入れたいビッグネームだった。
「悪魔のトップが随分な挨拶じゃない。会うのは初めてだったかしら?シスコン野郎の無能さん?」
全身が震える。これ程のプレッシャーを遠坂は生まれて初めて味わった。気を抜けば膝をついてしまいそうになる精神を震い立たせ令呪を使用するべきか否か思考を回転させていた。
「(本当は直ぐにアーチャーを呼び出したいけど、魔王相手に英霊を差し向けるなんて開戦宣言にも等しい。なら、私一人で迎撃すべき?いえ、無理。カレイドステッキは簡単に解けない封印を施してあるし、宝石剣を取りに行く暇なんて与えてくれると思えない。手持ちの宝石は二十。ただの上級悪魔なら、十分対処可能なのに最上級それも他の魔王より強力な超越者をアーシアを守りながら戦うなんて無謀に等しいわ)」
今後の悪魔社会を思い、一瞬は躊躇う遠坂だが、そもそもお前が全部悪いんじゃないかと怒りを爆発させ三画以上ある令呪を行使し――――
「待ってくれ、そいつは私じゃない!」
――次回『じんこう悪魔』
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