那谷蜘蛛山に行こう
アイリス視点
「アイリスさん。今日の分の薬膳できましたか?」
「出来てるけどさ・・・なんか量多くない?」
「仕方ありませんね。負傷者は後を絶ちませんし」
「いや、カナエさんの話じゃ今日はあんまりいないんじゃ・・・」
「沢山食べる君が好きは誰の言葉でしたかね?」
「いや、それは蜜璃ちゃんに言ったのであってしのぶちゃんじゃ・・・」
「料理人だって体力勝負ですよね?」
「いや・・・その・・・」
「ですよね?」
「・・・・・はい」
しのぶちゃん最近原作寄りになったなぁ・・・。
蘇生切りによって身体は元通りに成ったカナエさんだけど、僕がいなければ死んでいたという理由で、柱を引退し、今は蝶屋敷の管理人さんみたいな立ち位置に収まっている。
僕はというとその薬膳料理の腕を買われ、蝶屋敷に運ばれた隊士達の食事を作る係になっている。
僕の薬膳料理はご存知グルメ食材ばかりで数に限りがある。もちろん取りに行こうと思えば何時でも行けるんだけど、あまりちょくちょくだすと逆にこれを目的にわざと負傷する可能性も出てくるから、よほどの重症、重病人でないと出さないようにしている。
例外として現柱のしのぶちゃんや継子のカナヲには常に食べさせている。
しのぶちゃんのお気に入りは捕獲レベル5461のマントラレタス。一つの根っこから曼荼羅のように何箇所も渦を巻いており、その一つ一つが味が違う。
咲いている場所がグルメ宇宙の中でも太陽に近い星の一番深い場所にしか生えないのに大きさも半端ないので持ち出すのも一苦労だ。
僕のフルコースの中で一番高い無色米より捕獲レベルが高いので最初は本当に苦労した。
今は難なく取りにいけるけど、非常に難しいし行くのもしんどいからあまりせがんで欲しくない。
カナヲちゃんはシャインレインボーラムネ。
捕獲レベルは87で虹色諸島の中心の島の湖から取れる。
年に1回、毎秒500L噴出するレインボーラムネの中で1Lほどで、しかも噴出中にしか取れないため捕獲レベルが高い。
マントラレタス程じゃないにしろこちらも中々大変だ。
でもカナヲちゃんはあんまりおねだりして来ないから本当にいい子だ。
そこぞの蟲柱さんも見習ってよ。マジで。
蘇生切りで瀕死から回復したカナエさんだけど、何から何まで完璧に回復とまではイカなかった。
やはりグルメ細胞がない影響か、本来なら万全か少し強くなって回復するはずだけど、以前の半分程の実力に落ち込んでしまっていた。
全集中の呼吸も1時間もすれば倒れてしまうほど弱体化してしまい、僕の行動は本当に命をつなぎとめるだけに終わった。
生きているだけマシだと言ってはくれるけど、僕はこのユダ先生から教わった薬膳料理にだけはチートを用いない。
ステータスを弄ることはあっても、料理の腕前だけは嘘を付きたくなかったからだ。
ユダ先生なら難なく治したに違いない。
どうやら僕は知らず料理の面でもチートに頼ろう。などという甘い考えがあったようだ。精進しなくては。
「・・・という訳でですね。今日はマントラキャベツのざく切りサラダなんか良いと思うんですよ」
・・・・それこの間も食べなかったっけ?
「産屋敷さんのところに僕も?」
「はい。薬膳の材料を補充したいということですので」
「別にしのぶちゃんがついでに持っていけば良いような・・・」
「良いじゃないですか。たまにはお館様にも顔を見せましょうよ」
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