第17話 ソウルの理
「そこの者、止まれ!」
銀騎士たちが、再集結しているところに一人の男が現れた。見知った者がいれば、輪の都の鎧に似ていると言うだろう。そこに、リングを型どったものは無いが、小人であると言うのは良くわかった。
銀騎士達はその、男の前に立ち塞がると名を名乗るようにと言いつつも、腰の剣に手を掛け臨戦態勢へと移行している。
やっと龍狩りを終えたばかりだというのに、なぜこのような男の相手をしなければならないのかと。
「案ずるな、その男を相手にしてはならない」
グウィンが騎士達を制し、その男の前に出る。
「久しぶりだな、深淵の騎士ウェルスよ。元気であったかな?いつ以来か、そんな事はどうでも良いかの。そう言えば、貴公。輪の都はどうした?なぜ帰っていないのか。」
「ふん、あんな都、疾うの昔に捨てた。貴様、良くもまあ俺を騙してくれたな。貴様を殺すつもりは無いが、怒りで貴様を殺しそうだ。」
二人の間に立つものはなく、睨み合いが続く。寒気のする空気が流れていたが、それを打ち破ったのはグウィンの方からだった。
「詫びも兼ねてどうかね?我が城へ案内しよう。旧友が来たのだ、それに今日は龍狩りも成功した。祝杯へご招待しよう。どうかな?」
「どうかな?だと?ほう、余裕だな。俺一人では貴様を殺せないからな。良いだろうそれに乗ってやる、周囲に潜ませている伏兵を退かせろ。目障りだ。」
周囲に藍色の装束を纏った者たちが現れる。王の刃、キアランが頭領として纏めあげる、アノール・ロンドの暗部組織。それらが、ウェルスの周囲を囲っていたのだ。
「では、招待しよう我が城へ。」
グウィンの合図の元に、出立の準備が整えられる。
《西方砂漠、交易路》アッシュ
荷馬車が砂漠を突き進む。枯れた大地を、隊列組んでゆったりと進んでいく。
途中で寄ったオアシスで、この商人たちとであった。なんとも良い事に、目的地は帝国?という国にあるアルヌスだという。
話しに聞くところによると、最近では非常に発展していて、周囲に比べて品を扱うのが多くなったのだとか。
それに、商機を見いだして大移動を行っている。と言うのが、この商隊の隊長の言い分だ。
私たちは同じ方向へ行くと言うので、今は共に行動している。正直、火守女の体力の心配もあったのだから調度良いだろう。
「それでだな?最近エルベ藩首王国近郊にドラゴンが出ているんだそうだ。私らもそんなものと出会わないで、この旅を終えたいものだ。聞いているかい?」
「ええ、聞いています。私は一応腕には自信があります。もしもの時は、時間はしっかりと稼いであげますよ。」
こうして護衛を請け負っている。それにしても、ドラゴンか。良い思いではこれっぽっちも無いな。
丸焼きにされたり、潰されたり、吹き飛ばされたりetc…。
今思い出すだけでも寒気がする。
「灰の方、少しよろしいでしょうか?皆さんが、冒険譚を聞きたがっておりまして、私では詳しくお話し出来ないのです。」
「わかった今行くよ。」
「旦那も、良い奥さんですなぁ。全く、あんな美人がこの世にはいるのだなぁ。」
「まったくです。私には過ぎたものですよ。」
本当に、彼女があんなにも楽しそうにしている。あの時代、笑いというものがどれ程貴重で、どれ程尊かったか。今にして思えば、あまりにも残酷すぎる。
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