ハーメルン
私は護る小人を
第29話 グウィネヴィア


グウィンが火継ぎをし、イザリスが混沌に呑まれてから更なる年月が経過した。
何も知らぬ小人達や、神々の子等、若き巨人達。

古い神々の言葉に見事に騙され、あたかも火継ぎを世界を救うためのものだったとし、イザリスもまた同じように世界を救うためと、美化されて広まっていった。

この間に、魔法に新たなものが現れ始めた。『呪術』それは、混沌の炎と似た性質を持っており、それが広まるのは意外と早かった。魔術のような学は要らず、奇跡のような信仰心もいらない。

一般人の中から呪術師が現れ、一つの都市を形成していった。後に言われる『大沼』である。

『魔術』はウーラシール崩壊により途絶えたものを、再び世界に教えるために魔術師の集団が組織を作った。
後に言われる『ヴィンハイム』である。

そして、多くの神々を信仰する各宗教集団に伝えられる、神々の()()()伝説を再び記し、小人に伝えられ、その神話により『奇跡』が広まった。

しかし、そのどの魔術にも闇に触れるものはなく、嘗て扱われていたダークソウルの使用による魔法は姿を消した。勿論輪の都も例外ではない。ダークソウルを封じられ、変わりに王のソウルを渡された。
これにより、完全に輪の都は神々の手に堕ちた。

神々はそれをこれで、繁栄は続くだろうと胸を撫で下ろした。不安材料であるシースと、ウェルスの事を念頭に対策を推し進め、2人の対立を招くためにシースへ実験材料と称し、グウィネヴィアの巫女達を送った。

それが、ウェルス。ひいてはハベルの逆鱗に触れることとなる。これにより神々は『岩の神ハベル』と『深淵の騎士ウェルス』二人をシースへ向ける事に成功させた。

この二人はいつも小人側に立ち、神々のやることに反対した。ウェルスに至っては暗殺さえ行われていた。
シースへぶつけるにはちょうど良い存在だったのだ。

シースは自分の邪魔をする二人から逃げるように、アノールロンドへと入城し大書庫を建築する。結界に守られて、二人は侵入することは愚か、近付くことすらままならなくなっていた。

だが、そんな事をやっている間に火は再び力を失い始め、ちょうどグウィンが火を継いだ頃から1000年目の頃、再び小人達にダークリングが現れ始めていた。



《アルヌス》

~伊丹~
ウェルス達が会議室で質疑を行っているとき、伊丹たちは隊の引き継ぎを行っていた。
伊丹から見て全員の顔がよく見える位置、彼は有ることに気が付いた。
いつもなら自分に対して悪態をつく栗林、彼女の顔に覇気が無いことに。

「それにしても、どうしたんだ栗林。お前そんな覇気の無い顔しちゃってさ、なんか酷いことでも有ったか?」

死んだような瞳を伊丹へと向けてきている。

「いいえ、何もありませんよ。ただ、ちょっと夢見が悪いだけです。」

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