第37話 忘れられたもの
深淵が世界に拡がりを見せていたとき、ウェルス率いるエルフ達は有ることで対立していた。
ここ山のような古龍の国に残り、運命を共にするか。
ウェルスの考え通り、別の大陸へと移住するか。
多くの者は現実を受け入れ、深淵から逃げるように他の大陸へと移住を覚悟していたが、少数の者たちはここに残ろうとした。蛇人達も例外ではなく、対立は正しく国を二分するものだった。
だが、ウェルスと言う絶対的な力により表立ってよ争いが起こることは無く、表面上の平和が続いた。
そう、無名の王が現れるまでは。
それは突然だった、ある日暴風が吹き荒れた。そこに現れたるは、一頭の古龍とそれにまたがる神だったもの。
その力は衰え、最盛期の一割にも満たないがそれでも驚異的な力である。
蛇人達はそれを見た瞬間に敵と判断した、そして無名の王と蛇人達の殺し合いが始まる。
決着は余りにも早く着く、当然ただの蛇が神や龍に勝てるはずもなく呆気なく国は滅んだ。
このとき、ウェルスはファルマートへ調整をしており留守にしていた。
運命とは残酷なものだ、ウェルスは帰還して早々目を丸くした。何と言うことだろうか、国が滅び人々も5割は死滅してしまった。
それだけではない、死んだ筈の蛇人は無名の傀儡となり、ウェルスへと攻撃を仕掛けてきた。
それを難なく切り伏せ、旧き友と対峙する。
結果はウェルスの圧勝だ、力衰えたものに負ける筈もない。しかし、かつての友を殺すのは心が痛んだゆえに彼は鐘に彼を封印した。
いつか誰かが鐘を鳴らすまで、決して解けることの無い封印を。
その間、傀儡は動き続けここに来るものへの試練となるだろう。
そして、残った者たちはウェルスの案内のもとファルマートへと旅立った。もう二度とここに来ないと誰もが信じた。
しかし、幾人かは行かない決断をし、いつか来るときまで深淵を狩り続けることを決意する。
その者たちは異国ファランにて狼血の儀式を造り、後のファランの不死隊の前進組織を作り上げる。
それは偽りの誓約、其を信じ込ませるのは至難の技であったであろう。彼等は嘘を知りつつも、現状を維持しようとした。故郷の事が好きだったから。
《暗い穴》
身長も体格もてんでバラバラな四人組に着いていくこと一時間程だろうか、何やら建物のようなものが見えてきた。恐らくは彼等の拠点があそこなのだろう。
伊丹はその事を気にする前に、あることを気にしていた
名を名乗った四人は、半年程前にウェルスから聞いたことがある、古い神話の登場人物だと言うことだ。
偽りだとかなら話は別だが、あの四人は異常に強い。
正直、同じような生命体では無いのでは?と考えてしまうほどに。
それでも見知らぬ者たちを自分達の城へ案内すると言うのだから驚きだろう。
警戒心が無いのか、はたまた眼中に無いのかどちらかだろう。
「到着したぞ!此処が我等の都、ボーレタリア遺跡だ。」
そこはうっすら霧がかかり、全容を捉えるに時間をかけなければならない程巨大な城壁を構えし場所。
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