第41話 熱を失う者たちよ
不定形のものは深淵は戸惑っている、自らの力が弱っていることに、彼の頭のなかには戦いなどすぐに終わるものと考えていた。だが、蓋を開けてみれば最初の火が灯った時と同じように、自分の力は制限され思うように動けない。
ウェルスはこれを狙っていた、ウェルス自身の力も制限されている、だが彼の場合は目立った動揺もなくむしろ、憑き物が落ちたかのように真っ直ぐとした目だ、恐らくは計画の内であろう。
互いに睨み合い、どちらかが先に動くのかジリジリと時が流れていく。深淵は早い内にウェルスを叩かなくては何か秘策があると感じとり、動こうとするも動いた時点で彼の月光を纏った剣により、体の一部を削られる。
そう判断してか、中々動くことが出来ない。
ウェルスにとっても同じ事、この空間ではダークソウルが、力を発揮する事はない即ち一度きりの命、無闇に動けばその時点で死ぬこともある。
元からの不死であるが、ソウルを喰われればその時点で消滅する。ダークソウルが有るからこそ、今まで消滅しなかった。
動いたのはウェルスだった、一瞬の内に剣を持つ腕を曲げ刺突を繰り出す。刺突と言うよりかは、嘗ての奴隷騎士の獣のような戦い方、それに技を加え一撃をより致命に至らしめる深々としたもの。
元はと言えば、剣の技術の始まりは彼だったのだから、正しくオリジナル。
だが、それも奴を致命にすることは無い、不定形であるが故に剣技は通じない。
だからこその月光であり、雷であり、炎であった。だが、魔法は遅い故に筋力でそれを補った。
彼には巨人のような強い力もない、イザリスやグウィンのように、強大な魔力(ソウル)からの魔法もない。
だからこそ全てに手を出した、それが彼の唯一の強み。
時間の経過と共に周囲の炎は蒼くなる、それはまるで青空のように、別の世界へと来たかのようだ。ウェルスの剣は深淵に些細なダメージを負わせていく、次第に体がバラバラになっていくことに深淵は恐怖した。
あまりにも執念深い攻撃に、巨体はなす統べなく切り刻まれる。だからだろう、ウェルスの隙を突くべく攻撃に合わせて槍を放った。
遂に深淵の槍がウェルスを貫く、ニタリとウェルスが笑った。それを待っていたのだろう、剣に光が宿りそれを深淵へと深々と差し込み内部から大爆発が起こる。
と、同時に炎の檻は開き。灰色の空と大地が姿を表す。
うぞうぞと、深淵が再び一つとなり周囲を見渡す、精気の無い世界が広がる、だが次第に空が近付いてきている。それどころか、大地が消えていく。
深淵は逃げ惑う、何とかして生きようと、古の獣が一人が生に執着したその末路は、完全なる消滅。
それを、致命傷を受けたウェルスは見つつ始まりの螺旋剣を取り出し、世界を渡った。
残されたのは深淵のみ、終わり行く世界をただ呆然と眺める他無い。
《中心部》
『火ヲカエセ!!』
3mは有るかと思われる巨体が跳躍し、剣を振り下ろす。
上級騎士はそれを回避し、ソラールは出来た隙を突き横合いから剣を振るう。
が、それをものともせずに剣を振るう。
叩きつけられたそれは、地響きを上げ地面が抉れる。
その破片が伊丹等生者を襲うが、それをバルドがピアスシールドで庇う。
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