ハーメルン
私は護る小人を
第42話 火を惜しみつつ

目的を果たせぬままウェルスは、灰の大陸へと帰って来た。何か手懸かりが有るのではないか、もしかすると私に何かを託して行ったのではないかと、考えていた。

歩き続けていると、ふと見覚えのある景色が近付いてくるところが見えた。
灰の大陸にある、唯一の封印地帯。そこの景色は全て幻想なれど、未だ生命の息吹を感じさせるのには十分すぎる場所であろう。

彼は旅の出発地、輪の都へと数万年の時を経て帰還したのだ。
そこでふと、誰かが倒れているのが見える、紅い頭巾を被った人だろうもの。

いや、只人や灰、不死人とも異なるソウルの瞬き。それはまるで、絵画世界の住人に似ていた。
だが、それでも服装が奴隷騎士とは、いったい何が目的でここまで来たのだろうか?

首を傾げていると、件の奴隷がウェルスを感じ取ったのかゆらりと立ち上がり、剣を構えた。
まるで、幽鬼の如く立ち上がりウェルスを睨み付けている。

何かを口走っている『お嬢様のために…』奴隷はただそれだけを口にし、ウェルスへと飛び掛かった。だが、そんな攻撃対して避ける必要もなく、剣を素手で捕まれる。

刃の無くなった剣など最早鈍器にすぎず、己よりも力の有るものには通用しない。
それを解っているだろうに、目の前の奴隷は眼光を鋭くさせるばかりか。打開策が、出てこないのだろう。

だから、ウェルスは言った。この先の都に用事があるのなら止めはしない、だがもしもそこでお前の手に入れたいものが、努力で勝ち取れないものであったらどうするのか?と。
奴隷は答えたそれでも目的を果たすと。

ウェルスは呆れて剣を離した、そして言った。
行けと、もう私に突っかかるなと。

奴隷は駆けていった、後に復活した灰の英雄により殺されるだろうその奴隷を見送り、ウェルスは再び印を探し続けた。



《中心部》

体が傷だらけになりながらも、騎士やソラール、バルドを相手取り大立回りをしているグウィン。
その並々ならなぬ執念はいったい何処から来るのだろうか、果たしてそれはテュカに目をつけた。

灰や不死である連中とは違い、生身の存在で限りある命で、戦闘経験に乏しく何よりこの世界では精霊魔法は使うことは出来ない。
精霊…。いや、古い小人達の意志がここには留まっていないからだろう。

だから彼女をグウィンは狙う。彼女の身の内にあるダークソウルを、始まりの火の残り火を喰らうために。
だが、伊丹等も黙って見ているわけではない。
確かに銃はグウィンへの効果が薄いのだが、効かないと言うわけではない。

そこで、急所よりも足を狙うことを定め如何にして負傷させるかを念頭にテュカを守る。
レレイは己が身につけたソウルの業を使い、遠近の魔術でグウィンを迎え撃つ。

だが、それでも意地から来るものが、グウィンを奮い立たせる。
どうにかして最初の火の力を取り戻す、そして平和を手に入れる。
頭はもはやそればかり、亡者と変わり無いそれは、果たして伊丹等を出し抜いた。

ライフルの弾が、貫通しない。いや、貫通してもひたすらに駆けてくる化け物じみた絵面に、一瞬の戸惑いがあった。例えば象の突進のようなものだろう、対処の仕方に一瞬だが空白が生じるとは即ち死を意味する。

騎士達が背後から襲う瞬間に、腕に雷を握り大地に叩きつけた。ソラールのそれと違いラグがないそれは、周囲に伝播し生者は皆感電する。

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