ハーメルン
私は護る小人を
第42話 火を惜しみつつ

ソウルを奪うために殺さないよう手加減しても、意識は失うだろう。

騎士達は吹き跳ばされ、戻るのに数秒かかる。そのうちに、テュカのソウルは奪われてしまう。かとおもわれた。

グウィンが掴もうとした手が血まみれの、ウェルスによって止められた。
グウィンは言った、古き友よ今再び世界を平和へと誘おうではないか。と、
ウェルスはそれを聞くと拒否した。もう、我らの時代は終わったのだと。

それを聞いて、グウィンは今までの雰囲気を解き地面に膝を付いた。
ウェルスは、グウィンの首へ捻れが取り除かれた剣を、添えた。

殺れとグウィンは言う。
ああ、また合おうと、ウェルスが答え。剣が振り下ろされて、グウィンは消えた。ソウルも何も残さずに。



~一月後の世界~

地球世界はおぞましい敵との戦いに勝利し、忙しくも達成感のある戦後処理をしていた。
有能になった国連は対応に追われ、どの国がどの程度貢献したかを数字に落とし込む作業にあった。

何故、中国にあれが表れたのか。
今回の戦いにおいて、最も多くの犠牲者を出した中国。
彼等が何故最初の標的とされたのか、それは簡単に説明が付いてしまった。
あの西洋の三枚舌の国によってさらけ出されたそれは、同情を買っていたものから一転して、世界を危機に陥れたとして捕らえられた。

だが、日本もその片棒を担がされようとしていた。中国の証言から導き出されたのは、日本でそれを手に入れたという事で要するに、ゲートの向こうの物を持ち込んだのではないかという事となった為に、日本にも矢が向けられたのだ。

確かに日本から来たのは間違いないだろう、監督不行き届きであるからだが、忘れてはならない事はゲートは日本の意思で開いた訳ではないこと。

だから、日本の言い分はこうなった。ゲートを開いたのは向こうの帝国と言う国だ、なら文句は向こうにお願いする。
事実上のゲートの国際管理を認める形となったのだが、あんな化け物がいる世界に人を送り込もうとする勇気が有る国は存在しなかった。

日本の主張する権利は概ね護られると言う結果になったが、帝国への憎悪は無くなってはいない。
その矛先は、皇帝へと向けられる。現皇帝のピニャは、それを聞いた時、卒倒しそうになった。

そして、決断に迫られたのだ。国の命か自分の命か、それともゲート開門の令は発布した、父の命か。
当然の事ながら、当時の自分に全責任を負う程のものはなかった。

蜥蜴の尻尾切りをするしかない状態と言えば良い、元老も自分を支持するだろうと考えた。
そして、実の父を手に賭けた。国民の命が大事、例え自分が死んだ後何と言われようと、年寄りに任せるよりかはまだましだろう。

その決定の数日後には刑が執行され、モルト前皇帝はその命と引き換えに、異世界の憎悪を背負って死んだ。
だが、本当の元凶を地球も帝国も知らない。
知るのはごく一部のみ。
その元凶は今、寿命を迎えつつある。

自衛隊の医務室のベッドに横たわる嗄れた老人。嘗ての面影もなく横たわるそれは、ウェルスだ。
始まりの火と共に消える筈だったダークソウル。その最初の種火、それをひたすらに吸収し続けたソウルのよって誤魔化し続けたものは、力を使い果たし見るも無惨なものとなる。


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