ハーメルン
私は護る小人を
第43話 道をたどり、教えを辿る


実質巨大な一つの国家として少しずつ動き始めようともしている。
それもこれもみんな、闇霊のお陰というもの。国連の権威と権力が増大したのは各国の政府があまりにも対応が後手後手に回ったことによる、反感から来るものだった。

それに対して国連は現時点で強権的な男がトップとなり、強引に纏め上げた。議会制民主主義に反する行為をしているが、大混乱の中それは逆に良い方向へと移った。

大企業の重鎮達は我先に国連へと助けを請い、今までにないくらい国連は潤っている。
もう、何処の国の顔を見なくても良い、立派な国際組織となった。

それに対して、日本は意外とその傘下へは収まっていなかった。
ゲートの件もさることながら、何と闇霊の出現率がそれほど高くなかったのだ。

これは単に日本に殺人を根差した犯罪組織が少ないことが上がっている。(闇霊はソウルを多く持ってるやつの場所に現れる。)
そういうところは良いことだった。

国連とすれば、何とか傘下に組み込みたい。そしてゲートの向こうを覗きたい、強引にやれば離反が発生するかもしれない。
故に強引には行かない、だからある方法を使った。

それは国連憲章の見直しと、国連の解体と再編成だった。この組織は国連の権力を更に強化したもの、その名も地球連邦。
安直な名だが、覚えやすい。何より、世界を一つにという上っ面のスローガンも強固に出来る。

これに賛同しない国は、世界からどう思われるだろうか。少なくとも友好にはなれない。
だから日本は条件付きでの加入となる、ここに地球連邦極東管区、日本行政区が誕生する。

日本のつけた条件は3つ、天皇の地位、独自の三権分立の保証、ゲート内部の向こう99年間の委任統治だった。
国連は即座に受け入れた。99年など幾らでも誤魔化しがきく、地球連邦となった後じっくりと年数を減らせば良いと。


《手記》

地球側がそうなっていると露知らずに、自衛隊は今日も訓練に明け暮れている。
だが、その日は少し違った。

老衰したウェルスが覚醒した、起きた瞬間に若返りベッドから起き上がり質問を投げ掛けた。

あれから何日たったのかと、それと同時に自らの手を刃物で切りつけた。手からは血が流れ出でている。
だが、その色は黒ではない、普通の人間と同じ赤い色。傷は直ぐ様治癒の魔術で修復したが、失っていた痛みが残った。

彼にダークソウルは、無くなっていた。種火は消え継ぎ火だけが残った世界。
ウェルスは、古い力を取り戻した。
そして、最初に行ったことは。自衛隊、いやアルヌスに住む人々へ、ソウルの業を教授することだった。

いったい何が彼にそうさせたのか、今では誰にも解らない。だが、一つだけ解ることは、彼が何かしらの考えの元動いていたことだろうか。

元々、彼自身王という存在であったがゆえに、もしかすると自分の嘗ての国民達を想起させた可能性はある。
彼の記録の中には、四人は導くものというものがあった。

彼等が世界に現れたとき、既にボーレタリアは存在した。だが、それは遺跡と言う形でだ。最初の四匹は、ソウルの業を見出だし後から来たもの達へと、教えを説いた。それを思い出したのかもしれない。

そして、彼がソウルの業を教え初めてから自衛隊の戦力は大きくなった。

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