第8話 同調する世界
魔術が世界に散ってからどれ程の月日が流れたのだろうか?ある時、とある魔術使節が輪の都を訪れた。
輪の都の筆頭騎士となったウェルスは、その使節を出迎えた。
輪の都は、封じられた都。古の時代からの術を、闇の力を神々の力を、その悉くが封じ込められた場所。
使節が訪れたのはその古き術を学ぶためであった。
かの使節の代表は世界に名を轟かす、小人の魔術師
彼の名はマヌス。未だ、ウーラシールが建国される前の魔術師。その技量は遥かな高みとあるが、それでも灰の時代の神々の力には程遠い。
神々から虐げられる外の小人をなんとかして救って欲しいと、ダークソウルの王達は頼まれた。
しかし、彼等は自らの力に酔いしれその言葉を否定する。だが、古き騎士であるウェルスがその言葉に引き付けられた。
「なんと、清く、力強いものであろうか。
この者の力となれば、神々を見返す事も出来るだろう。そして、我が王の悲願も達せられる」
彼に闇の術を教え、使節と共に旅立つ旨を王達に語る。彼を止めるものなのどこの都には現れない。皆、自らに酔いしれ己以外に興味など無いのだから。
《イタリカ~アルヌス》テュカ
お父さんが、騎士団に連れ去られてそれを救出した後、私達はアルヌスに向けて走り始めた。
そんな中でもレレイは相変わらずあの本の解読をしてる。あの本の表紙に書かれてる著者の名前が、なんか妙に引っ掛かっていたんだけど、思い出した事があるの。
でも、断片的な内容だから黙って置くことにしたんだけど、マヌス、ウーラシール、深淵、不死人、始まりの火。何か重要だったものの筈なんだけど、思い出せない。
「ねえ、レレイ。やっぱり解読やめた方が良いんじゃない?あの騎士が、何かを知ってるみたいだったでしょ?何か曰く付きかも。」
「…?これには、非常に高度な事が記述されている可能性がある。私達が使用する魔法はどれ程頑張っても、腐敗を遅らせることしか出来ない。しかし、この本は腐敗するどころか、悼みさえしていない。
これを研究することによって、多くの人々の生活は劇的に改善される筈。」
そう言われてしまうと弱いけど。
「わたしぃは、テュカに賛成よ。私は長い間、地上を見てきたけど、そんなもの一度たりとも聞いたことないもの。危険すぎると思うわ。」
何とかして、レレイを説得しないと何か大変なことになると、胸の内がざわめく。
私達が、説得してるのにも関わらずレレイは強情に頑なに、それを辞めようとしない。
まるで、何かに取り付かれたように少しも考える素振りすら見せない。
と、思わぬところから援護が来た
「倪下、その本もしや北方の『灰の大陸』由来のものではないでしょうか。」
まさか、帝国の皇女から援護が来るなんて。
《イタリカ~アルヌス》ピニャ
目の前で少女が二人口論をしている。
少し異常に見えるのは、魔導師の少女、レレイと言ったものが本に異様な執着をしていることだ。
あまりにも煩かったので、声をかけてしまったが、どうしようか。
「灰の大陸、あの『灰の大陸』?あのかつて有ったであろう文明が発掘される。」
「そうだとも、聞くに様々な品がかの大陸からは出土するそうだ。発掘は容易ではないが、なんせ灰で出来た大陸だから、草ひとつ生えていないという。
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