ハーメルン
DIE HARD 3.5 : Fools rush in where angels fear to tread.
Me and the Devil Blues 2
ドカン、
の次は、
ドドドドドッ。
投げられた二つの手榴弾は天井付近で盛大に起爆し、客とテーブルと椅子と……店にある万象を吹き飛ばした。
カウンターの方へ走ったマクレーンだが、爆風に巻き込まれてしまい、彼も酒瓶の陳列棚まで吹っ飛ぶ。
そして陳列棚に背中から衝突し、瓶の破片と共に床に落ちる。
「うぐぉ……クソッ!!」
割れた瓶から流れた酒を浴びる。
ジンジンと痛む耳の奥だが、何とか聞き取れた声があった。
「野郎どもッ! パーティ・タイムだッ!! 逃げる奴にゃ尻の穴をも一つこさえてやれッ!!」
宴は続く。
今度は所持していた自動小銃の乱射が始まる。
際限無く撃ち放たれる弾丸は、壁やテーブルや床を簡単に蜂の巣にして粉砕して行く。
弾丸は酒瓶を割り、更に酒を浴びる。
「うあーッ!! この、クソッタレェーッ!! 危ねぇだろぉぉッ!!」
「おー。念願の酒じゃねぇか。浴びるほど飲めや」
顔を上げるとレヴィがいた。敵の襲来を知るや否や、カウンター裏に飛び込んだのだろう。
この状況なのに、涼しい顔でまだ酒を飲んでいる。
彼女の隣には店主と緑郎。
店主はカウンター下にでも隠していたであろう、散弾銃を持って怒りの形相だ。
「もう嫌だぁ!! もうたくさんだぁああ!!!!」
一方の緑郎は耳を塞いで縮こまり、パニックに陥っている。
「喚くなバカ。しかしおっさん、カウンター裏に逃げたのは賢い」
「蹴った時、かなり厚いと分かってた! ここまで盾になるとは思わなかったがな! どーだ見直したかぁ!?」
カウンターの板にも弾丸は食い込むが、貫通しない。
マクレーンはあの状況で、カウンターの板がやけに厚く強固だった事を思い出していた。
バーの客席用の薄い丸テーブルよりも、そこの方が爆風や銃弾から逃れられると判断したからだ。
「まぁ、パチンコ玉みてぇに吹っ飛んでたがね」
「結果オーライだろ!」
「こっちとしちゃ、露天の挽き肉みてぇーにグチャグチャになったおたくを酒の肴にしても良かったぜ」
「言ってろ、バカ女ッ!!」
レヴィは自分がもたれている遮蔽物を小突く。
「この店、何度も襲撃とかされてんから、カウンターのココに鉛板入れて防弾仕様にしてんのよ」
グラスに入ったラム酒を喉に流し込む彼女に、木屑を浴びながら応戦する店主が怒鳴りつける。
「なにテメェが得意げに説明してんだッ!? その『何度も襲撃された』ってのに、おめぇが原因なのは何度あんだボケェッ!?」
「これは知らねぇよ」
「知らねぇ訳ねぇだろがッ!? 出てけこの野郎ぉッ!!」
カウンターを乗り越えてこちらを狙って来た敵に、店主は散弾銃「レミントン M870」をぶちかましてやった。
「あんた上手いな!」
「元南ベトナム兵だ、舐めんなッ!!」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/6
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク