ハーメルン
【完結】最強の聖騎士だけど聖女様の乳を揉みたいので魔王軍に寝返ってみた
叛逆の聖騎士
魔王城は険しい渓谷の深部にそびえている。
人の足で入り込むのはもちろん、馬の足ですら走破するには困難を極める土地だ。
常に悪天候で日の明かりは滅多に差さず、昼間でも夜のようにドンヨリとしている。
こんなところを好きこのんで定住地にしようとする人間はいない。
だからこそ魔王軍はこの地を拠点に選んだのだろう。
もっとも、聖騎士としてのチカラを使えば無事に辿り着くことは容易だ。
なんせ空を飛べるからな。
クソッタレな聖都を抜け出して、まっすぐ魔王城にやって来た俺は、さっそく交渉を持ちかけていた。
「というわけで俺を魔王軍に入れてくれ魔王様!」
「うん、君はいわゆるバカだね」
魔王城の最深部。
高い天井に届かんばかりにでかい椅子の上でふんぞり返っている魔王が呆れたように溜め息を吐く。
「単騎でこの城を攻めてきて来たのかと思ったら……まさか本当に傘下に加わる気だったの?」
「だから最初からそう説明してるじゃないか。でも誰ひとり聞いてくんねーから、ここまで来るしかなかったんじゃないか」
警戒する気持ちはわかるが、どいつもこいつも「聖都最強の聖騎士が簡単に国を裏切るわけねーだろ!」と聞く耳持たずなのはどうなのかね。
しかも俺の「聖女様の乳を揉みたい!」という崇高な悲願をバカにしたもんだから、思わずプッツンしてしまった。
結果的に、強行突破する形になったが……
まあ結果オーライということで。
というか……
「まさか魔王が女の子だったとはな」
いったい、どんな化け物が待ち構えているかと思いきや。
最深部にいたのはどう見ても人間にしか見えない少女だった。
それも聖女様にも負けない、とびっきりに美しい少女だ。
聖女様の美しさが『清廉』ならば、こちらはまさに『魔性』と呼ぶべき美しさだった。
艶光る長い黒髪。流し目の似合う赤いツリ目。際どいところだけを隠した露出の多いドレス。
蠱惑的な美貌と艶めかしさは、奮起してやってきた勇者の戦意を削いで、そのまま魅了してしまいそうな危うさがあった。
「長年人類を苦しめてきた魔王の正体がただの小娘で拍子抜けしたかい?」
少年のような口調で、されど声色はあめ玉を転がすように愛らしく「くすくす」と余裕げに笑う魔王。
見た目は確かにただの少女である。
だがその纏うオーラとカリスマ性は少女のものではない。
対面した瞬間にわかった。
意識を強く持たない者は、この場で卒倒すると。
魔王の覇気に屈服してしまうと。
「……へえ、ぼくを前にして立っていられるのか。さすがは聖都最強の聖騎士だね。ここまで来れたのもまぐれではないらしい」
魔王は興味深げに俺を眺める。心臓を鷲掴みにされるかのような眼光。
確かに常人ならば、このプレッシャーに耐えられないに違いない。
鍛えた聖騎士ですら膝を屈するかもしれない。
俺も正直に言うと危なかった。本当にギリギリだった。
もし少しでも……
魔王に乳があったら即死だった!
ふぅ、危ない危ない。
この美貌でおっぱいまで聖女様クラスだったら興奮して意識が飛ぶところだった。
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