ハーメルン
【完結】最強の聖騎士だけど聖女様の乳を揉みたいので魔王軍に寝返ってみた
【急募】寝返るはずだった魔王軍をつい壊滅させちゃったときの対処法
「げげ!? アイツら来ちゃったのか!?」
よく見ると《十二聖将》のメンツも勢揃いじゃん!
まさかアイツらが神官の決まりに刃向かって魔王城を攻めてくるとは!
困った。
俺が裏切り者になったことは、あの簡潔かつ完璧な書き置きで周知されているに違いない。
だが所属する予定だった肝心な魔王軍は壊滅してしまっている。
いかん。いかんぞ。
このままでは人類の勝利でハッピーエンド。凱旋コースまっしぐらじゃないか。
そして俺は単なる裏切り者として捕縛されてしまうだろう。
そうしたら聖女様の乳を揉むことは二度とできまい!
それはまずい!
くっそ! こうなったら覚悟を決めて聖騎士たちと戦うしかない!
絶対に捕まるものか!
そう思った矢先、
――チカラを貸そうか?
「ん?」
ふと、脳に直接語りかけるような声が聞こえた。
引き寄せられるように、ある一点に視線が向く。
「あ、あれは……」
魔王が座っていた椅子の背後……俺の攻撃によって穴が穿たれた壁の向こう側に何かが光っている。
それは、剣だった。
漆黒に輝き、禍々しいオーラを放つ剣が、まるで使い手を待っていたかのように台座に突き刺さっていた。
「……」
その剣を見ていると、なぜだか「抜かなくてはならない」という気分になってくる。
意思とは無関係に手を伸ばしてしまう。
――そう、手を伸ばすんだ。ぼくには君が必要だ。君にもぼくが必要だ。
また声が聞こえた。
その声は剣から発せられているように思えた。
――君のような存在をぼくはずっと待っていた。さあ、この窮地を脱したければ、ぼくを握るんだ。
声に導かれるままに俺は……剣の柄を握った。
「お……おおおおおォォオオォォ!」
瞬間、漆黒のエネルギーが俺の総身を包み込んだ!
――おめでとう選ばれし勇者よ。今日からぼくらは一心同体だ。
声の主は、まるで無邪気な少女のように、くつくつと笑っていた。
◆
聖騎士たちが魔王城の門前に辿り着き、いざ突貫しようとした矢先――ソレは現れた。
「き、貴様は何者だ!」
とつじょ門前に立ち塞がった存在に対して、聖騎士のひとりが尋ねた。
全身を覆う漆黒の鎧。顔は兜に隠されていてわからない。ただ兜の隙間から漏れる赤黒く燃えた眼光は、奮起してやってきた聖騎士たちの心を萎縮させるほどに禍々しかった。
ひと目見た瞬間、聖騎士たちは理解した。
ただ者ではないと。
「よく来た聖騎士たちよ。我こそは魔王様の右腕――暗黒騎士、ブラック!」
くぐもった不吉な声色で漆黒の騎士はそう名乗った。
「暗黒騎士、ブラック……」
「魔王の右腕だと!?」
聖騎士たちの間に動揺が広がる。
魔王の右腕……その肩書きだけで眼前の騎士の実力が相当なものであることを告げていた。
「遠くはるばるここまで来てもらってすまないが……お前たちが魔王城に入ることはない。このブラックが貴様ら全員を葬るからだ」
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