詩乃に打たれたところを触れてみるけれどわからないが、一応撫でてみる。叩かれた事自体は仕方がない。確かに見るのは駄目だった。鈴や恵里との事で俺自身も倫理観がだいぶ崩壊していたのかもしれない。まあ、俺としては役得だったので良かったけれど、控えた方がいいか。
さて、食事を終えたので本格的にガチャのアイテムを整理しよう。食べ物はすでに食べたので残っているのは麻婆豆腐だけ。ただし、丼の器や鍋は使えるので綺麗に洗ってこれから使わせてもらう。奈落では貴重品だからな。
「詩乃にこのブーツを渡すから使ってくれ」
女性専用ブーツは詩乃に渡しておく。両足のない鈴や片足だけの恵里には使いこなせない。必然的に使うのは詩乃だけだ。
「いいの? 服まで貰ってるのに……」
「いいよ~鈴は……足がないし、恵里もね……」
「ご、ごめんなさい……」
「どちらにせよ、詩乃の靴は革靴だからここでは使いずらい。ブーツに履き替えた方が断然いい」
「そういうことだ」
「あ、ありがとう……」
女性専用ブーツを渡し、詩乃が靴を履き替えるのを見てから次の道具について考える。まずうまい棒は気落ちしている鈴の口に突っ込んでおこうかな。
「ほら、あ~ん」
「あ~ん♪ おぃふぃ~」
「あっ、ずる~い!」
うまい棒を鈴にあげて食べさせる。残りの袋もちゃんと回収してこれで大丈夫だと、思ったらアストルフォが身体の操作権を奪い取って操る。そして、鈴が食べている反対側から食べていく。ポッキーゲームならぬうまい棒ゲームか。
「あ、あの……」
「ほっといていい」
「そ、そうなの? 付き合ってるのかな?」
助けはこないようだ。アストルフォはそのまま鈴を抱きしめて押し倒し、唇が迫った所で身体の操作権が戻った。そのまま勢いよく唇が接触する。そのまま何時もの癖で鈴の唇を舐めて開き、舌と舌を絡めて楽しむ。うまい棒の残り滓も残っていたが、房中術を使う。
互いの魔力を循環させて食べると味を感じるような気がする。多分気のせいだろう。どちらにしろ魔力が身体に行き渡っていく。鈴は最初は驚いていたけれど、すぐに受け入れてとろんとした気持ち良さそうな表情に変わる。
「いっ、何時までやってんのよ!」
詩乃の声に顔を上げると鈴と俺の口から唾液の橋ができて、途切れる。ふと視線をやると上気した鈴は荒い息を吐いてぐったりとしていた。呼吸がまともにできなかったからだろう。どちらにしろ、今の鈴はとても可愛らしく感じる。
「次は僕の番だよね?」
「待ちなさい! 二人共そういう関係なの!」
顔を真っ赤にしている詩乃が怒り出した。彼女の表情からは照れも入っている気がする。まあ、いきなりディープキスを始めたからこうなるのは当たり前か。
「そうだね。僕と鈴は真名とキスをする関係かな」
「違わないが違う」
「なに、無理矢理ってこと?」
詩乃が自分の身体を抱いて下がる。俺は溜息をついてから鈴を抱き上げて恵里に近づき、隣に座る。恵里はすぐに俺に身体を預けてきた。
「少し寒くなるかもしれないから火を焚いてくれ」
「今、火を焚いて大丈夫なの?」
「大丈夫だ。さっきの戦いでこの辺りに居た兎は狩ったし、残っていたとしてもジャンヌダルクとジル・ド・レとの戦いを感じて逃げているだろう。少なくとも警戒してこちらを伺うくらいはするはずだ。それをしない奴なら簡単に殺せる」
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