11-開会式、ジムチャレンジャーたち
ワアアアアア、と歓声がやまないエンジンシティのスタジアム。いまルリミゾがジムリーダーたちと待機している控室まで震わせるほどの声量だ。用意されたモニターにはローズ委員長とオリーヴ秘書が映し出されている。
『レディース アンド ジェントルマン!わたくし、リーグ委員長のローズと申します!』
この動画はガラル全土、いや世界へと配信されているからか、やや大層な文句から始まった。今日はジムチャレンジの開会式。ローズはジムチャレンジについて簡潔に説明している。8人のジムリーダーを倒したトレーナーのみが、チャンピオンの待つ「チャンピオンカップ」へと進むことができるのだという。ルリミゾは代理として他のジムリーダーと肩を並べて入場、紹介される予定だ。
控室では様々なジムリーダーから声をかけられた。代理として慣れないジムリーダー業を務めるルリミゾを気遣う者、相談に乗るよと言ってくれる者、あるいは単純に代理でもジムリーダーと認めていると後押ししてくれる者。多くの人に尊敬されるトップトレーナー達は人格すら素晴らしく、まさにジムリーダーとしてジムチャレンジャー達を導くのにふさわしい。そうルリミゾは感動していた。声をかけられている間に考えていたことは戦いたいなという事だけだったが。
『それではジムリーダーのみなさん!姿をお見せください!』
出番のようだ。行くぞ、と先頭を歩くキバナに続いて、左右に分かれながら入場していく。アンタが先頭歩くのは今年が最後ね、と不敵に笑いながら。
・・・
歓声が一段と大きくなる。通路からフィールドに出たからでもあるが、スターであるジムリーダーの入場に観客がさらに興奮しているからだ。
「ファイティングファーマー!草タイプ使いのヤロー!」
広い肩幅が軽く手を上げながら挨拶する。
「レイジングウェイブ!水ポケモンの使い手ルリナ!」
優雅に歩く褐色の美女が投げキッスすれば、さらに野太い声が大きくなる。
「いつまでも燃える男!炎のベテランファイター カブ!」
白髪交じりのグレー、渋い表情と共に肩から手首まで一直線に伸ばしてキリっと歩く。
「悲劇の代理!ノーマルトレーナー ルリミゾ!」
自然体で歩き、軽く微笑みながら観客席に手を振る。ノーマルタイプのユニフォームは驚くほど特徴のない白いユニフォームなのであまり気に食わないが、それでも観客たちは大声援を送ってくれる。キルクスでジムトレーナーから聞いた話によれば、ノーマルタイプユニフォームのレプリカはなかなか売れているらしい。
あたしの魅力ね、とドヤ顔すればノマはこの世の終わりみたいな表情をしていた。
・・・
「一人来ておりませんが…ガラル地方が誇るジムリーダーたちです!」
あたしは代理だけど、と心の中で呟きながらも笑顔で横一列に並ぶ。面倒だ。来ていないネズが羨ましい。だがジムとキルクスの評判は落とせない。ジムチャレンジの紹介はまだまだ続く。
「ジムチャレンジャーたちは、この8つのジムリーダーの待つスタジアムへと旅をします!まず最初にターフタウンの...
もしかして一から紹介するのか?と絶望した。
・・・
「・・・そして、ジムリーダーとチャンピオンがいる限り、ギンガ団を名乗る犯罪者にも負けはしません!」
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