14-翌日、それから
翌日、ユウリは委員会から聞き取りを受けていた。
「君は脅されて、マグノリア博士とその孫のソニアさんの情報を言わされたんだね?」
「はい。地上絵と石碑について調べているようでした」
「ナックルシティの宝物庫も盗まれたものはなかった。タペストリーに記された厄災の伝説を調べていたようだったが、3000年前の厄災を何故今調べているんだ…」
御伽噺だろう、と言うリーグスタッフ。ガラルを滅ぼしかねないほどの厄災は御免だが、語り伝えられるほどの英雄が架空の存在というのはなんだか寂しかった。
「ありがとう、このことはローズ委員長にも伝えておくよ。怖かっただろう。部屋でゆっくりお休み」
そう気遣われたが、ジムチャレンジに行きたかったので別れてからターフスタジアムに向かう。ソニアから心配するメッセージが来ていたが、心配なのはこちらも同じだ。ソニアこそ気をつけてね、と返信してスマホロトムをポケットにしまった。
「ジムチャレンジ頑張れよ!お嬢ちゃん!」
「ありがとうございます!」
「期待してるからな〜!」
町は昨日の出来事など知らないように穏やかだ。委員会はジムチャレンジャーが襲われたという事件を隠したいらしく、お詫びに「でかいきんのたま」を二つ貰った。換金しろということらしい。それでもきちんとマグノリア博士の研究所には警備の人員が派遣されると聞いた。町の夜間の警備にはジムトレーナーも駆り出されるらしく、彼らが過労で倒れないか心配だ。委員会はことが大きくなる前に捕まえるつもりだと、スタッフは零していた。
「ガーディ、気にしなくていいんだよ?」
「クゥーン」
昨日、ボールから飛び出せなかったガーディはそのことをひどく気に病んでいるようだ。いくら言っても落ち込んだまま、尻尾も垂れ下がっている。絶対に敵わない相手に飛び出すことは勇敢ではなく蛮勇だ。
ユウリは昨日、降伏するときにガーディのボールをロックしていた。その判断がガーディの自尊心を傷つけることも理解していたが、相手は犯罪者、下手に逆らえば何をされるかわからない。
「じゃあ、今から行くジムで活躍してみせて!そうすれば自分を許せるでしょ?」
「ガウ!!」
嬉しそうに吠える。初めてのジムに少し緊張するユウリだったが、昨日の出来事により吹っ切れていた。
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ジムで休憩中、リーグ委員会からスマホロトムにメッセージが届いた。ピロン、という通知が鳴ったので開けば、先にメッセージを読んだらしいノマが話しかけてきた。
「ジムチャレンジャーがギンガ団に襲われたらしいぞ」
「何目当てよ、強盗?」
「石碑と地上絵について聞かれたらしい。石碑の謎解きをしようと夜中に出歩いてたら出会ったんだとさ」
危機感のかけらもないわね、と言いながらメッセージに目を通す。
ターフタウンにてギンガ団幹部、ロベリアを名乗る女にジムチャレンジャーが襲われ、マグノリア博士とその孫ソニアについての情報を聞き出された。石碑と地上絵についての情報を得ようとしていたこと、ナックルシティの宝物庫を襲撃したことと合わせると、ブラックナイトやそれを退けた英雄の剣と盾について調べていると思われる。
「まあ、当然そうなるわね」
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