17-vsポプラ メジャージムリーグ①
「さぁて、まずは初戦、あのババアを軽く捻るわよ!」
「ぐふ!」
ポプラに対して敬意がないわけではなく、強敵として認めたゆえの軽口。控え室でポケモンたちと触れ合い、名前が呼ばれるのを待つ。
「ルリミゾさん、お時間です!」
「今行きます」
ラテラルタウンで負った傷が痛む。体調は万全ではないが、それは歳を重ねた相手とて同じ。ポケモンたちをボールに戻し、通路からスタジアムのフィールドに向かう。今日はアラベスクタウンでの試合。腰の曲がったポプラを気遣ってルリミゾがアウェイに出向くかたちだ。
「相変わらず凄い歓声ですね…」
本性を隠し、ジムリーダーらしく振る舞う。通路から一歩、また一歩とフィールドに近付くたび、歓声が大きくなる。一位を獲るためには一敗もできない。少し身体が硬くなるが、ただ故郷へ帰ることを想って力をもらう。
ワァァアアアアア
「代理だからって手加減はしないよ」
「年配だからと手加減はしませんよ」
「なかなか言うじゃないか。口だけじゃなく振る舞いで見せな」
少し本性が漏れ出てしまったようだ。どちらからともなく後ろへ向いて距離を取る。気持ちを切り替え、最初に出すポケモンを選ぶ。ポプラは老いて歩幅が小さく、ゆっくりなためそれに合わせてルリミゾもゆっくり歩く。
「それじゃ、よろしく頼むよ」
「よろしくお願いします!」
閉じた傘を地面につきたて、両手を持ち手の上に置いた。少し手首でリズムを取ってから、下から軽くハイパーボールを投げるポプラ。
ジムリーダーの ポプラが
勝負を しかけてきた! ▼
「あたしぐらいの歳になれば、若者みたいな投げ方はできないね」
「気にすることないと思いますよっ!」
猫を被り答えながらモンスターボールを投げる。今更だが構わない。
「バイウールー!」
光と共にもふもふが降り立つ。今までの試合の傾向からして、おそらく最初に繰り出すのはクチートやマタドガスだろう。ポプラの繰り出したポケモンは・・・
「トゲキッス!?」
「あんたの試合、見させてもらったよ」
「ウォーグルを出されちゃ厄介だからねえ、クチートは温存さ」
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「これはどういう対面なのでしょうか?解説のカキタさん、お願いします」
「えー、ルリミゾ選手を研究したポプラ選手が読み勝ったという感じですね。バイウールーは物理で攻撃するポケモンで相手をすると非常に面倒ですから、上手くトゲキッスを当てた形になっています」
「どうしてバイウールーが面倒なのですか?」
「彼らにはもふもふの毛がありますよね。それがクッションとなって、バイウールーに直接攻撃でダメージを与えるのは至難の業です。ですから、特殊攻撃や遠距離からの物理攻撃で沈める必要があるんです」
ここは実況席。ガラル全土に放送されるメジャージムリーグはとんでもない視聴率を誇る。普段バトルをしないトレーナーや、駆け出しのトレーナーにもわかりやすく状況を実況・解説するのが彼らの役目だ。実況のミタラシ、解説のカキタというコンビは特に人気のキャスター。そんな二人が担当するほど、新しく昇格したルリミゾの戦いは注目を浴びていた。
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