ハーメルン
ジャミトフに転生してしまったので、予定を変えてみる【完】
天空より来るモノ

●人道的救助の名のもとに
 秋になって史実と大きく違う流れが生み出される。
この時点でオデッサが陥落しているので、今更というべきかもしれないが。

まず捕虜交換を行う訳だが、その相手はジオン政府ではない。
ここで迂闊に停戦してしまうと色々と面倒なことが起きるので、ジオンの地上軍司令部が建前上の相手に成る。
何か起きても問題を起こしたのは地上司令部であり、ジオン公国総帥府ではないという建前だ。

「気分はどうかね?」
「お陰様で快適ですよ。しかし捕虜交換はまだ先と聞いていますが?」
 捕虜交換に先立って、クロトワ・バジーナという名前を与えた男に面会しておく。
彼の出番はもう少し先のはずだったのだが、出番が増えてしまった以上は仕方がない。

とある艦が行方不明になってしまったので、色々あって彼を使うことにしたのだ。

「我が軍の艦が交戦中に座礁してしまってね。ジオンの方もそうらしいので、人道問題という理由で一時的に停戦した区域があるのだよ」
「……騙されているかもしれないから、俺に行けと? それとも油断させて諸共に?」
 当然違うので首を横に振っておく。
そうする必要がある場合でも、別にこの男を使う必要はない。
適当なジオン兵を使えばよいだけの話だし、今の情勢ではそこまで外道な方法を採る必要自体が全くなかった。

「その艦を妙な連中が気にしておってな。面倒なことにならぬ間に生存者を引き上げてしまいたい。艦の処分はそれからでも遅くはあるまいよ」
「……ザビ家の特務部隊? あるいは連邦側の急進派ということか」
 何とも言えないのでここは否定しない。という態度を取っておく。
まさか第三勢力などとは言えないし、そうでない可能性もあるので予測を外したら恥ずかしいので黙っておく。

「しかしそちらにもパイプの太いエージェントは居るでしょう。あえて交渉に乗ったばかりの俺を使わなくとも」
「実はアフリカとアメリカ……両方で消息を絶ちおってな」
 状況を困難にしたのは、二隻の船が行方不明になったことだ。
どちらも機密性が高く、かつ、取り巻く環境が頭おかしい。

これを放置しておく手はないし、この機に色々と工作しておくのも悪くはない。
同時にこの男を使用して、我々に裏はないのだと演技しておくのも悪くはなかった。それで帰還後に協力的になってくれれば、ありがたい限りだろう。

「何隻も同時に行方不明に成るとは。連邦はどうかしてるのではないですか?」
「耳が痛いな。しかし今回は素直にジオンの将兵を褒めようではないか。赤い彗星は大気圏突入時に仕掛けたそうだよ? もう片方も似たようなものだ」
 できるだけ放置してきたが、ついにその時がやって来た。
ホワイトベース隊がアメリカに不時着してしまったのだ。

史実と違うのは、連邦軍の強化に伴ってホワイトベースの援護が若干厚かったことだ。
ホワイトベースはジャブロー行きに失敗したが、シャアのコムサイも行方不明になったらしい。

「オデッサ戦に先駆けて北米とアフリカを牽制するために空母を出しておったが、条件の一つとして下げたら返事は良好でな。好きな方に向かうと良い」
 民間人が乗っているという事で、人命救助を理由に呼びかけたらガルマはこれに乗ってきた。
包囲網が外れたからか、シャアも行方不明だからか、あるいは単純に人の良いお坊ちゃんだからかは分からない。どの理由なのかは分からないが、今のところ順調だといえるだろう。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析