ハーメルン
迅雷の軌跡Ⅱ
パンタグリュエルへ

いきなりユミルの空に現れた貴族連合の旗艦〈パンタグリュエル〉。そしてユミルの地には貴族連合に協力している〈結社〉のメンバーや〈西風の旅団〉、さらには貴族連合参謀まで現れ、〈Ⅶ組〉とその協力者は何とか迎え撃っていた

その頃、渓谷道最奥でレイとミルディーヌと邪神竜は〈氷姫〉ロヴィーナと対峙していた

レイ「……」
ミルディーヌ「……」
邪神竜「……」

レイはカイザークローを、ミルディーヌはライフルを構えて、邪神竜は人間大の大きさになってロヴィーナを睨む

ロヴィーナ「フフフ。いつまでそうやって様子見をしてるつもりかしら?まぁ、そちらから来ないなら……」

するとロヴィーナは右手を左手の上にかざし、自分の左手を凍らせていく

ロヴィーナ「こっちから行くだけだけどね!!」

そして一気にレイ達に急接近し、凍らせた左手を振るう。それを見たレイは少し動いて回避しようとするが……

レイ「っ!!ちっ!!」

突如、レイはミルディーヌを抱いて一緒に大幅にロヴィーナから距離を取った

ミルディーヌ「レ、レイ兄様!?」

邪神竜「間一髪だったな。」

そう言って邪神竜は2人の側に飛んできた。しかし、ミルディーヌは邪神竜の言葉を理解出来ていなかった

ミルディーヌ「えっと、どういう事でしょうか?」

レイ「奴の凍った左手を見てみろ。」

ミルディーヌ「凍った左手……。っ!?あれは……」

彼女が驚いたのも無理はない。ロヴィーナの左手を覆っている氷が今は剣のように鋭くなっているのだ

ロヴィーナ「さすが〈迅雷〉に邪神竜。小娘と違って私の技を初見で見抜くなんてね。」

ミルディーヌ「氷の……剣?」

レイ「それもお前の能力か?」

ロヴィーナ「ええ。自分の腕を凍らせて作る剣――氷剣(ウェイルブ・ブロード)よ。異能の力で作る氷の剣だから切れ味は抜群。ハアッ!」

するとロヴィーナは〈ウェイルブ・ブロード〉を振って白銀の斬撃を飛ばしてきた

レイ「カイザーリッパー!」

―ズガァァァンッ!!

レイの赤黒い斬撃とロヴィーナの白銀の斬撃が真正面から激突して爆発が起き、雪が舞い上がって視界がゼロになる

レイ「くうっ!視界が……」
ロヴィーナ「ウフフ、良いわね。ん?」

―バシュンッ!

ロヴィーナ「フッ!」

―キィィンッ!

ミルディーヌ「うーん、最高のタイミングで狙撃したんですけど……まさか銃弾を剣で真っ二つにするなんて。」

ロヴィーナ「いや、なかなかのタイミングだったわよ。でも、今度こんな場面に遭遇したなら爆発が起きた瞬間にする事ね。その方が相手は防御体勢をとっているから防ぎにくいし……ねっ!」

ミルディーヌに狙撃のタイミングを教えたロヴィーナは自分の右側に向かって〈ウェイルブ・ブロード〉を振ると『ガギィンッ!』と何かを弾く音が聞こえ、いまだに舞い上がる雪の中からレイが現れる

レイ「デェェェヤッ!!」
ロヴィーナ「ハアァァァッ!」

―ギィィィンッ!!

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