ダンジョンで死にかけるのは間違っていない 2
死にかけた翌日、神様にもロキ・ファミリアの皆さんにも言われたので暫くの間休暇です。蓄えはある程度あるので3日ほどは訓練もダンジョンにも潜るのは禁止されてしまいました。やることがないので神様と出会った噴水の近くにあるベンチで日向ぼっこと昼寝で体を休めます。
「ベル君?」
「むにゃ?」
うつらうつらと船を漕いでいた所に誰かに声をかけられた。
「ふふっ、眠たそうね」
「……エイナさん?」
寝ぼけている頭で声を頼りに相手を当てる。
「おはよう、ベル君」
「おはようございます、エイナさん」
寝起きでテンションが低いままエイナさんに挨拶を返す。殺気とか悪意を向けられないとすぐには頭が回らない。
「今日はお休みなの?」
「昨日は色々とありまして、三日程休養の予定です。休養が明けてもまた1、2階層で慣らし直しです。装備もバックパック以外は全部新調し直しになりましたから」
ロキ・ファミリアで貰った物は僕が使っていた物より多少良い物になってしまった。防具はともかく、武器は微妙に長さとか重心が変わったから慣れないといけないし、靴も新しい物だから馴染んでいないし、鉄板もまだ仕込んでいない。
「何かあったの?」
「昨日、ロキ・ファミリアの人たちが遠征から帰ってくる途中、ミノタウルスの群れを見つけて狩ろうとしたら全力で上層に向けて逃げ出したんです。で、そのうちの一匹と偶々遭遇しちゃって、追い詰められて、賭けに出たところでミノタウルスを挟んでアイズさんと衝突事故が起こりまして。レベル1とレベル5の衝突事故です。結果はご察しの通りで死にかけました」
「死にかけたって、本当に大丈夫なの!?」
「見ての通りですよ。まあ、念の為に三日程休養です。で、そうなると暇でこうやって日向ぼっこをしてたらそのまま寝ちゃってたみたいですね」
そう話しながら、頭を徐々に起こしていく。あれ、何か余計なことを言ったような?う〜む、完全に覚醒すれば何かミスが分かるはずだけど、まだ寝ぼけているみたいだ。
「ねえ、ベル君、この後暇?」
「見ての通り暇ですよ」
「じゃあ、デートしよっか」
「ほぇ?」
拝啓、天国のおじいちゃんへ。おじいちゃんの言う旗がいつの間にか立っていたみたいです。原因が分からずに思考がパンクしています。あまり嬉しいという感覚はないです。エイナさんは確かにきれいな人だけど、どちらかと言えばお姉ちゃんみたいに思ってます。お姉ちゃんなんて居ないけど。おじいちゃんの才能はこれっぽっちも持っていない僕にはハードルが高そうです。
『儂が一番努力した女の子との出会い方を天然で持っとるくせに何を言っとるんじゃ!!儂なんて努力と脚で出会っとったのに、普通に過ごしとるだけでレベルの高い娘と出会いおって』
そんな幻聴が聞こえた気がする。まだ寝ぼけているな。
エイナさんはデートと言いながらも僕の新しい防具を見繕おうと言って、バベルにまで連れてくる。
「エイナさん、僕のスキルの関係上ヘファイストス・ファミリアの武具とは相性が悪いんですけど」
レベルに合わせた武器を持っても、百人力で全部使い捨てにしなければならなくなることを考えると不壊属性の武具じゃないと意味がない。ぱっと見た感じヘファイストス・ファミリアの武具は性能は高いが耐久性はその分犠牲になっているみたいだ。僕の技量の問題もあるようだけど、斬るよりは叩くのが僕のスキルに合っている。無骨や棍とか、大剣とかだね。普段使いはナイフの方が良いんだけど。普通はサブウェポンだし、そのサブウェポンにすら手が届かないお値段だ。もしくは僕の本来の武器であるアレを使うなら買い換える必要すらなくなる。
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